Wor-Q
働くみんなの連合サポートQ

特集公開日:2021年3月31日 by Wor-Q MAGAZINE 編集部

Wor-Q MAGAZINE 特集第3号のテーマは、「徹底解説!「損害賠償」をしっかり理解して<強いフリーランス>を目指そう」です。「損害賠償」。言葉からして重たいですし、できれば人生で一度たりとも関わりたくない言葉ですね。ですが、フリーランスとして仕事をしていくにあたっては、「損害賠償」についてしっかりと理解しておくことが必要不可欠です。

•どういう時に損害賠償をする責任が生じてしまうのか?
•どういう時に損害賠償を請求することができるのか?

このふたつを知っているのと知っていないのとでは、思い切って仕事に打ち込むことができるかどうかに大きな差が出ます。損害賠償についてしっかりとした知識を持っていれば、安心して、本来やるべき仕事に集中して取り組んでいくことができます。

「何か起きた時に問題を解決するため」ではなく、「安心して働ける毎日を作っていくため」にこそ、損害賠償についてしっかりと学ぶ意義があるのです!
本特集では、損害賠償に関する「基礎」をしっかりと解説していきます!

目次

徹底解説!「損害賠償」をしっかり理解して<強いフリーランス>を目指そう
1. 損害賠償をする必要が出てしまうとき
  1-1. 故意や過失で他人の権利や利益を損ねてしまったとき
  1-2. (故意や過失でなかったとしても)約束を守れなかったとき
2. 損害賠償責任を負わないようにするためには
  2-1. 問題を起こさないようにする
  2-2. しっかりした契約をかわしておく
3. 損害賠償請求を受けてしまったときのために
  3-1. 弁護士さんに相談する
  3-2. 万が一に備えておく
4. 損害賠償の請求を行うことができるとき

 徹底解説!「損害賠償」をしっかり理解して<強いフリーランス>を目指そう

 1. 損害賠償をする必要が出てしまうとき

まずはじめに「どういう時に損害賠償をする必要が出てしまうのか?」について見てみましょう。大きくは、「故意や過失で他人の権利や利益を損ねてしまったとき」「(故意や過失でなかったとしても)約束を守れなかったとき」の2つのケースがあります。

 1-1. 故意や過失で他人の権利や利益を損ねてしまったとき

いちばんわかりやすいケースですね。「故意」は論外ですが、「過失」であっても、自らの行為によって他人の権利や利益を侵害して損害を生んでしまった場合には、その損害を賠償する責任を負うことになります。

(Memo) 関連する法律の条文

民法709条:故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う

 故意

ここでいう「故意」とは、いわゆる「わざと=わかっていてやった=意図的」な場合(予見した結果を積極的に実現させようとしたケース)だけでなく、「このままいったら、こうなっちゃうかもしれないなあ」というように可能性を予見した上で「そうなったらそうなったで仕方ない」というように考えて動いてしまったような場合(「未必の故意」と呼ばれます)も含まれます。「(積極的にそうしようとしたわけじゃないから)わざとじゃないんです!」というのは言い訳になりません。「そのようになるかもしれない、いや、なるだろう」ということを分かっていたうえで「まあ、いいや」とばかりに動いてしまって結果的に問題を起こしてしまったら、それは「故意」であるとみなされます。「故意」で発生させてしまった損害の賠償責任は、厳しくなるケースもあります。

 過失

それでは「過失」はどうでしょうか。過失とは、①「問題が発生する可能性があるかどうかをあらかじめ注意して気にすることをしなかった」ようなケースや、②「このままいったら、問題が起きちゃうかもしれないな」という認識をもちつつも、「多分大丈夫だろう(問題は起きないだろう)」と思ったり、「それではまずいな」と思いつつもその問題を回避するための行動をしっかりととっていなかったようなケースを指します。「過失=うっかり」というだけのものではないのです。「うっかり壊しちゃいました」「うっかり失くしちゃいました」というようなケースだけを指すものではありません。きちんと対策を打っていれば起きなかったはずの問題を起こしてしまった場合(=「しっかりしていなかった」場合)も、「過失」とされます。とりわけ、ちょっと気を配れば確実に問題の発生が予想できたり、問題の発生を防げたようなケース(=あまりにもしっかりしていなかったケース)「重過失」とされ、損害発生の責任について厳しく問われることになります。

 故意と過失についてのポイント

ここでのポイントは、

•「そもそもそうした問題が起きるとは思ってもいなかった。一般的に誰がどれだけ注意してもそうした問題が起きるとは考えにくいことだった」→故意とも過失ともならず損害賠償責任が生じない場合があります
•「問題が起きちゃうかもしれないという認識のもとに、考えうる・取りうるあらゆる手立てを講じて対策をしたが、それでも問題が起きてしまった。」→故意とも過失ともならず損害賠償責任が生じない場合があります

というところですが、ここでの論点は、何をもって「一般的に誰がどれだけ注意してもそうした問題が起きるとは考えにくかった」とするのか、何をもって「考えうる・取りうるあらゆる手立てを講じて対策をした」とするのか、というところでしょう。これは極めて専門的な議論となりますので、法律の専門家に相談することが望ましいでしょう。

 他人

なお、ここでいう「他人」とは、仕事を発注してもらっている相手(契約の相手方、債権者)に限りません。仕事の過程で、第三者の権利や利益を損ねてしまった場合には、その第三者から損害賠償を要求される場合があります。そして、同時に、仕事を発注してもらっている相手にも不利益を与えてしまった場合には、仕事を発注してもらっている相手からも損害賠償を要求される場合があります。

「取引先に迷惑をかけないからいいや」というのではいけません。第三者の権利や利益を侵害して損害を与えてしまった場合には、損害を賠償する責任が生じます。

 他人の権利又は法律上保護される利益

これは非常に広い範囲の対象を指します。単純に、「人のものを壊してしまった/失くしてしまった」「人をケガさせてしまった」というようなことだけを指すものではありません。

「他者のもの」「他者の生命・身体」のほか、たとえば、
「他者が平穏かつ快適に暮らすことができる権利」・・・自分の仕事が原因で、たとえば騒音・悪臭・有害物質を発生させたりなどして、こうした権利を侵害するようなケース
「他者の名誉」「他者の営業権」・・・自分が仕事をほしいがゆえに、同業者に関する根拠のない悪質な噂を取引先の耳にいれたりして、同業者の名誉を侵害するようなケースや、同業者の正常な営業を妨害して営業権を侵害するようなケース
「他者の氏名、肖像」「他者の著作権」・・・自分の仕事をうまいことみせるために、勝手に第三者の名前や顔写真を使ったり、第三者に著作権がある著作物を利用したりして、他者の権利を侵害するようなケース

たとえばこうしたケースにおいては、損害を賠償する責任が生じる場合があります。

 これによって生じた損害

さて、「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害してしまった」場合に、「これによって生じた損害」というのは、どこまでの範囲の損害を指すのでしょうか。

まず、しっかりとした因果関係がある損害のみが対象となります。仮に、なにごとがなかったとしても(権利や利益の侵害が無かったとしても)起きてしまっていたような損害であれば、因果関係が認められない場合があります。「権利や利益の侵害」があったことではじめて発生することとなった損害こそが、責任を負わなければならない損害の範囲となります。

また、「権利や利益の侵害」があったことで発生した損害のうち、「特別な事情によって生じた損害」については、「その特別な事情を、予見すべきであったとき」だけ、責任を負わなければならないこととなるとされています。たとえば、誰かのものを壊してしまった場合には、通常は、そのものの金銭的価値相当額を支払って賠償をすることとなりますが(=これを「通常損害」と呼びます)、そのものが予想しえない理由で異常な値上がりを見せたり、通常では考えられない理由で同種のものと比べて以上に高い金銭的価値を持っているような場合においては、そうした特別な事情を予見すべき状況・立場にあったときに限って、そうした損害の賠償の責任も負うこととなるとされています。

そして、損害には、現実に発生させてしまった損害(積極損害)だけでなく、そうした損害の発生がなかったら本来得られていたであろう利益を得られなかったことについての損害(消極損害)も含まれます。たとえば、他人のものを壊してしまい、そのことで、他人の仕事に支障を生じさせてしまった場合には、その間の休業補償に加え、将来得られたであろう利益が得られなくなってしまったような場合には、そうした逸失利益の補償をも行う必要が出る場合があります。

さらには、直接的に相手に与えてしまった損害(直接損害)だけでなく、間接的にさらに第三者に損害を及ばしてしまった場合には、そうした損害(間接損害)についても責任を負わなければならなくなる場合があります。たとえば、誰かの仕事道具を壊してしまい、そのことで、その人が仕事ができなくなってしまったことで、その人の仕事を受ける予定だった第三者にも損害が発生してしまったような場合が考えられます。

以上のように、「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害してしまった場合」において責任を負うことになる損害の範囲というのは、このような広がりをもったものなのです。

 1-2. (故意や過失でなかったとしても)約束を守れなかったとき

ところで、損害賠償の責任が生じる可能性がある場合というのは、いままで見てきたような「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害してしまった場合」だけではありません。

フリーランスとして仕事をしている場合において、より「起こりうる」ケースとして考えられるのは、約束、すなわち契約を守れなかったときです。より具体的には、契約において定められた「やるべきこと」を「やるべき通りにやらなかった/やれなかったとき」です。こうしたケースを「債務不履行」といいます。

故意や過失をもって「やらなかった」場合に限らず、なしうる限りの努力を尽くしたにも関らず「やれなかった」場合でも、債務不履行となります。

具体的には
•決められた期日(納期、締切)までに、やるべきことをやらなかった場合(「履行遅滞」)
•決められた期日(納期、締切)までに、やるべきことはやったものの、依頼された趣旨に沿った完全な形でやれていなかった場合(「不完全履行」)

といったケースがあります。

不完全履行に関しては、契約のタイプによって、不完全履行となる条件が変化します。

「請負」と呼ばれるタイプの契約を通じて「何かを完成させる」ことを頼まれた場合には、その特定の何かを求められた水準で欠陥なく完成させることができなければ、債務不履行となります。

「委任」と呼ばれるタイプの契約を通じて「何かをする」ことを頼まれた場合には、通常求められる水準での最善の努力を怠ってしまった場合には、債務不履行となります(最善の努力をしたうえで、発注者が望む結果が出なかったとしても、その場合には、債務不履行とはなりません)。

「えっ?締め切りを守れなかったり、求められていたものを実力不足で完成させられなかったとしても、最悪、もらえるはずだった報酬がもらえなくなるだけでしょ?」と思っておられるフリーランスの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そうではないのです。

もらえるはずだった報酬をすべてもらえない(請求できない)ばかりか、仕事がしっかりとなされなかったことによって仕事の発注者側に発生してしまった損害をも賠償する責任を負うことになってしまう可能性もあるのです。

たとえば、本来であればできあがっているはずだったビジネスの仕組みがきちんとできあがらなかったことによって、本来得られるはずだった利益が得られなくなってしまったような場合には、そうした利益に相当する金額まで、損害として賠償責任を追及されてしまう可能性もある、ということです。

それだけ、契約というのは重たい約束だ、ということですね。

 2. 損害賠償責任を負わないようにするためには

このように、損害賠償を求められるケースにはさまざまなパターンがあり、どんな人であっても「無縁」というものではないのです。むしろ、どんな人でもあっても「損害賠償を請求されるリスクを抱えている」といったほうが適切でしょう。

フリーランス(個人事業主)の場合、株式会社とは異なり「無限責任」となりますから、万が一巨額の損害賠償責任が確定してしまった場合には、事業用の資産からだけではなく、個人資産も含めて賠償額を用意しなければなりません。

フリーランスとしての仕事人生のみならず、人生そのものにも大きな大きな影響が及んでしまうものなのです。それでは、そうした損害賠償の責任を負わないようにするためにはどうしたらよいのでしょうか。

 2-1. 問題を起こさないようにする

まずは、当然のことながら、モラルを持って仕事をすることに尽きます。「これは、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害することにつながらないだろうか?」と常に注意しながら慎重に仕事を進めるべきです。そして、もしも、自分自身ではその判断がつかないような場合には、しっかりと仲間や専門家に相談をするべきです。

そして、無理をしすぎないことです。自分ひとりでは明らかにできもしないことを、無理して引き受けてはいけません。「できなかったら、最悪誰かに頼めばいいや」などと思っていたら、誰も助けてくれなくて、債務不履行に陥ってしまうということもあります。自分が受注した仕事を他の誰かに任せること(=「再委託」といいます)が契約で禁じられている場合もあります。フリーランス向けの情報サイトには「稼ぐためには、できないことでも思い切ってチャレンジするべき」といった情報も散見されますが、安易に鵜呑みにするのは危険です。それよりもむしろ仕事の発注者がもっている「期待値」をしっかりと把握し、お互いにそのレベル感を共通認識として合意形成していく技術を磨いていくことのほうが重要です。

 2-2. しっかりした契約をかわしておく

どれだけ気をつけても、「まさか」の出来事というのは起こってしまうものです。発注者や第三者に損害を与えてしまう可能性はゼロにはならないのです。

「1件数万円しかもらえない仕事なのに、何か問題を起こして損害を与えてしまったら、ものすごい金額の損害賠償を請求されるかもしれないなんて、そんなの怖くてやってられないよ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そう思うのが普通、かもしれませんね。とはいえ、それではフリーランスとして仕事を続けていくことは難しくなってしまいます。そんなフリーランスを守ってくれる砦が、「契約」なのです。

契約書は、両者が合意すればどのようにも内容を取り決めることができます。契約で取り決めた内容は(無効となるような内容でない限り)民法等の法律に優先されます。

たとえば、契約書の中に、以下のような損害賠償に関する条項が設けることができます。

(損害賠償)
本契約に違反し、相手方に損害を負わせた当事者は、本契約に定める委託料を上限として当該違反に起因して発生した損害を賠償しなければならない。

これは、債務不履行によって発生した損害の賠償について、その金額に一定の上限を設けるものです。

このような条項の入った契約書をきっちりと取り交わしておくことで、万が一の際に請求を受ける損害賠償の金額に上限が設けられることになりますから、安心です。フリーランスとして発注者と契約を交わす際には、特に、この「損害賠償」に関する項目について意識して内容を交渉していくのがよいでしょう。

そのほか、(「損害賠償」に関する条項の中に)以下のような文言を加えることで、損害賠償責任の範囲を予め両者合意の上で取り決めておくことも可能です。

•「故意又は重過失がない限り、その損害賠償責任は請求の原因を問わず現実に発生した通常かつ直接の損害に限られるものとする」

→故意又は重過失が無い場合、つまり、「重過失でない過失」の場合に限り、損害賠償責任を:
(1)現実に発生した損害に限る:逸失利益等の消極損害は責任の範囲から除くものとする
(2)通常の損害に限る:特別な事情によって生じた損害については責任の範囲から除くものとする
(3)直接の損害に限る:間接損害については責任の範囲から除くものとする

•いかなる場合にも自己の責めに帰すことのできない事由から生じた損害について責任を負わない

いくら契約が重たいものだとはいえ、明らかに本人の責任ではない理由で債務不履行状態となってしまった場合には損害賠償の責任は発生しない(仕事の依頼者は、損害賠償を請求できない)ということが法律で定められています。上記の一文を契約書に書き加えることで、この観点を「より明確に」相互に確認しあうことができます。

(Memo) 関連する法律の条文

民法415条但書:債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

具体的には、①相手方が本来やるべきことをやらなかったり、嫌がらせをしてきたりなどして、自分の仕事が妨げられてしまったとき②天変地異などのいわゆる不可抗力、が考えられます。

•第三者からの損害賠償請求にもとづく損害については、故意又は重過失がない限り、相手方に対して責任を負わない。

契約というのはあくまでも当事者間での取り決めですから、契約によって定められた仕事に関連して起きた出来事であったとしても、その仕事を通じて「第三者(他人)の権利又は法律上保護される利益を故意または過失によって侵害してしまい損害賠償の請求を受けた場合」には、その請求について、当事者間の契約によって一部を免責したりするということはできません。契約はあくまでも当事者間の話であって、第三者は関係がないものなのですから。上記の一文は、どちらか一方が、仮に第三者から損害賠償請求を受けたとしても、残りの片方は(残りの片方に故意又は重過失がない限り)一切関係ありませんよ(責任を負いませんよ)、ということを両者合意しておくための文言です。

このように、契約書の書き方ひとつで、「もしものときに、どうなるか」は大きく変わってくるものなのです。取引においては契約を交わすことがもちろん大切なことですが、契約を交わせばよい、というものではありません。取引先の大きな会社から送られてきた契約書を読みもしないで押印してしまってはいけません。契約の中には、明らかに片一方に有利な契約というものも存在します。明らかに自分に不利(責任が重たすぎる)と感じた場合には、遠慮せずしっかりと交渉をするようにしましょう。場合によっては、契約内容に同意できないようであれば、その仕事は断る、ということも視野に入れるようにしましょう。

フリーランスとしての経験を重ねる中で、「自分なりのベストな契約書」をつくりあげていくことも大切なことです。さまざまな契約書を交わす中で、契約書の中のひとつひとつの項目についての理解を深め、「自分はこの条文は譲れない」と考える項目を少しづつ組み込んでいきながら、「自分なりのベストな契約書」を育てていくのです。そして、ゆくゆくは、自分から発注者に対して「この契約書を交わしていただくことが取引の条件です」というように提案ができるようになれれば理想的でしょう。Wor-Qでは、そうしたカスタマイズの「土台」としてお使い頂けるような「フリーランスのための標準的な契約書雛型」を自由にダウンロードしていただけるように公開しています。ぜひ、ご活用ください!

 3. 損害賠償請求を受けてしまったときのために

それでは、損害賠償請求を受けてしまった場合にはどうしたらよいのでしょうか?損害賠償請求というのは、必ずしも「裁判(訴訟)」という形で請求されるものであるとは限りません。最初は、「先方からの申し入れ」から始まる「話し合い」の中で請求されることが一般的でしょう。いわゆる「示談」と呼ばれるものです。

 3-1. 弁護士さんに相談する

弁護士さんへの相談は、「裁判(訴訟)」の時だけしかできない、というわけではありません。弁護士さんは頼れる法律のプロです。依頼をすれば、話し合い(示談)の段階であったとしても、あなたの側に立って、話し合い(示談)をサポートしてくれます。万が一大きな損害賠償の請求を受けた場合(受けそうな場合)には、すぐに相談をすることが望ましいでしょう。

なお、弁護士費用は基本的に依頼者が負担することになるものですが、損害賠償責任の態様によっては、訴えの際に必要となった弁護士費用も損害の額に含めて請求できる場合があると言われています。そうした点についても、依頼時に弁護士さんに相談をしてみるのがよいでしょう。

 3-2. 万が一に備えておく

また、明らかな故意や過失によって他人の権利や財産を侵害してしまったり、明らかに努力を怠って債務不履行となってしまった場合においては、弁護士さんがいくらしっかりとサポートしてくれたとしても、損害賠償責任を免れないものです。そうした場合に、巨額の損害賠償額を工面することは困難な場合もあるでしょう。そうした場合には、自己破産に至ってしまう場合すらあります。そこで、問題が起きてからではなく、あらかじめ、「もしものとき」に備えた保険(共済)に加入しておくことも重要なことです。

明らかに自分ひとりでは解決しきれない問題を解決するには、皆の力で助け合うこと以外、方法がありません。保険(共済)は助け合いです。誰かの「もしものとき」を支えることにもつながります。自分にあった保険(共済)を見つけて、入っておくことを検討してみるとよいでしょう。

 4. 損害賠償の請求を行うことができるとき

最後に、「どのような時に損害賠償の請求を行うことができるのか」について見ておきましょう。上記の逆を考えればわかりやすいですね。

ひとつは、「自分の権利・利益を侵害されて、損害が生じた場合」です。あなたの身体、財産、営業権、名誉名声、著作権・・・、そうした大切なものが傷つけられて損害が発生した場合には、損害賠償請求を行うことができます。日本の民法は、被害者の救済を目的として、損害賠償の規定を設けています。被害を受けたら、救済される権利を持っているのです。堂々と主張して、損害賠償を得るようにしていきましょう。

もうひとつは、「契約を守ってくれない場合」です。仕事を依頼する側が契約を守らない場合というのはどのような場合が考えられるでしょうか?典型的には、報酬の未払いがあります。こうした場合には、当然に、未払い部分の請求が可能です。加えて、遅延損害金も請求できる場合がありますから、専門家に相談してみることをお勧めします。

なお、「仕事の発注者が、受注者の権利や財産を、故意や過失によって侵害して、損害を発生させる場合」というケースも存在していることを忘れてはなりません。仕事の発注者はお金を支払う側ですから、一般的に、受注者よりも強い立場にあります。そうした立場を悪用して、受注者に嫌がらせを行う行為は典型的なパワーハラスメントに相当します。そうした悪質な行為がエスカレートして、具体的な被害が発生した場合(病んでしまって仕事ができなくなってしまった、名誉・評判を傷つけられて仕事に悪影響を受けてしまった)には、損害賠償の請求が可能になります。繰り返しになりますが、日本の民法は、「被害者を救済するために」損害賠償に関する条文を持っています。法律によって、被害者は守られているのです。「フリーランス」はじめ、いかなる働きかたをしているひとであろうと、法の下に平等に守られているのです。法律に守られることで、人は強くなれます。学ぶべきことは学び、専門家に頼るべきは頼り、「強いフリーランス」となって、あなたの力を思う存分世の中で輝かせてください!

注:本特集に掲載しております情報は、正確を期すべく、しっかりと確認を行っておりますが、あくまでも参考としてご利用いただきますようお願いをいたします。特に、個別具体の事案において、法律がどのように適用され、どのような結果を生むのか、といった点につきましては、個別具体の事案の性質によって変化するものですので、十分ご注意ください。個別具体のケースについては、Wor-Q「相談事例集」も参考にしてみてください。また、個別具体の事案に関する法律的な相談は、必ず、弁護士等の専門家に行うようにしてください。

Wor-Q相談事例集「損害賠償」関係(※一覧を見るには会員登録・ログインが必要です)

Wor-Q弁護士相談サポート窓口(※ご利用には会員登録・ログインが必要です)

構成:旦悠輔(Wor-Q管理人 兼 Wor-Q Magazine編集長)

大学卒業後16年間に渡り大手コンサルティング会社・大手ポータル企業等でIT関係の仕事に従事したのち、フリーランスとして独立。Webサイト運営に関するコンサルティングから、システム設計・開発・運用、コーディング・デザイン、そして中身のコンテンツの企画制作(文章/イラストレーション&グラフィック/写真&映像)に至るまでオールマイティにこなすマルチフリーランサー。個人事業主としての屋号も、「肩書や職種の枠組にこだわらず、課題解決やイノベーションのために必要なことはなんでもやる」という決意をこめて「旦悠輔事務所」としている。当事者(フリーランス)のひとりとして、「フリーランスという働きかた」に関するさまざまな課題を解決に向かわせていきたいという思いをもって、Wor-Qの運営に携わっている。