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特集公開日:2021年10月11日 by Wor-Q MAGAZINE 編集部

Wor-Q MAGAZINE特集第8号のテーマは、「決定版!フリーランスのための【契約書の結びかた】徹底ガイド」です。

フリーランスの立場は、一般に、非常に不安定で、弱いものです。「いつ仕事を打ち切られるか分からない」「何か問題を起こしたら自分ひとりで全ての責任を負わなければならないのでは」。こうした不安に苦しみながら仕事をしているフリーランスの方も多くいらっしゃるのではないかと思います。悲しいことですが、そのような、フリーランスの不安定で弱い立場につけこんで、法外な言動を取ってくるような発注者も存在すると言われています。

(仕事の発注元から)
・理不尽な要求を受けて無理をさせられた
・きちんと仕事を終えたにも関らず正当な報酬を受け取ることができなかった
・仕事とは関係のない、人格否定、ハラスメントを受けた
などといった、働く人間としての尊厳がないがしろにされるような出来事に苦しんだ経験がある、というフリーランスの方の数も、少なくないのではないでしょうか。

不安定で弱い立場にあるフリーランスが安心して仕事をしていくために最も重要なツールが、「契約」です。契約をしっかりと取り交わすことで、「どこまでの範囲の仕事をすることに対して」「どのような報酬を、いつ、どうやって受け取ることができるのか」といった重要な事項について明確にすることができます。なおかつ、契約には拘束性がありますから、契約で定めたことを先方が守ってくれなかった場合には、契約を根拠にして、しかるべき法的手続をスムーズに進めることができるようになります。

しかしながら、「ちゃんとした契約を締結することが大切だ、と言われても、どうやって契約を結べばいいの?どんな契約を結べばいいの?経験もないし、見当もつかないよ!」というフリーランスの方も多いのではないでしょうか。会社勤めの方であれば、会社の中に法務部門があったり、会社が契約している顧問弁護士さんがいたりして、契約書の中身については「お任せ」できる場合もあるでしょう。ですが、フリーランスの場合、そういうわけにもいきません。基本的には、自分自身で契約の内容を詰めて、交渉をしなければならないのです。もちろん、外部の専門家の力を借りることもできますが、契約を締結するたびに契約書の作成を法律の専門家に依頼していたのでは、費用もバカになりません。非常に複雑で高度な契約を締結する必要がある場合にはもちろん専門家を頼るべきですが、シンプルな契約であれば、自分自身でスマートに勘所を押さえた契約を締結できるようになりたいものですよね。

本特集では、「契約を締結する、ということはどういうことなのか?」という「初歩の初歩」からスタートし、契約書の中でよく登場する代表的な条項について、その意味合いや、交渉上のポイントを丁寧に解説していきます。

ぜひお読みください。また、どうぞ、必要とされている方に、ページのURLをシェアしてくださいね。

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目次

「決定版!フリーランスのための【契約書の結びかた】徹底ガイド」

1. 「契約」とは何か~「契約を結ぶ」にはどうしたらいいのか~

「契約」を結ぶ手順
  ●契約の内容は(基本的に)自由に決められる
  ●契約で取り決めをしなかったポイントについてはどうなるのか
  ●契約を「締結する(取り交わす)」とはどういうことか
  ●「契約書」を「締結する(取り交わす)」とはどういうことか

「契約」のパターン
  ●「請負」か「準委任」か?
  ●都度「(一回限りの)契約書」を交わす形にするか、「基本契約+個別契約型」にするか?
  ●契約書ひな型の選択

2. 「契約書」の中身はどうしたらいいのか

1回限りの契約書(準委任型)
  ●タイトル
  ●前文
  ●第1条(委託業務の内容)
  ●第2条(支払方法)
  ●第3条(報告)
  ●第4条(秘密保持)
  ●第5条(再委託の禁止)
  ●第6条(権利義務の譲渡等の禁止)
  ●第7条(損害賠償)
  ●第8条(不可抗力)
  ●第9条(解除)
  ●第10条(契約の中途終了の場合の報酬請求)
  ●第11条(反社会的勢力の排除)
  ●第12条(存続条項)
  ●第13条(管轄)
  ●第14条(協議事項)
  ●終わりに

基本契約+個別契約型(準委任型)
  ●第1条(適用範囲)
  ●第2条(個別契約の成立)
  ●第3条(本業務の内容等)
  ●第4条(報告)~第16条(協議事項)

1回限りの契約書(請負型)
  ●第1条(委託業務の内容)
  ●第2条(支払方法)
  ●第3条(検査)
  ●第4条(契約不適合責任)
  ●第5条(所有権)
  ●第6条(知的財産権)
  ●第7条(危険負担)
  ●第8条(秘密保持)~第12条(不可抗力)
  ●第13条(解除)
  ●第14条(契約の中途解除の場合の報酬)
  ●第15条(反社会的勢力の排除)~第18条(協議事項)

基本契約+個別契約型(請負型)

3. 結び(まとめ)

 決定版!フリーランスのための【契約書の結びかた】徹底ガイド

 1. 「契約」とは何か~「契約を結ぶ」にはどうしたらいいのか~

 ▼ 「契約」を結ぶ手順

 ● 契約の内容は(基本的に)自由に決められる

契約は、当事者間の約束です。それぞれの義務と権利を明確にして、お互いに、守ることを誓うものです。(公序良俗に反しない限り)どんな内容を取り決めても自由です。「契約だから、この項目とこの項目は必ず決めなければならない」という定めがあるわけではないのです。「この点は、曖昧にしておくと後々トラブルの種になりそうだから、あらかじめハッキリ言葉にして合意しておいた方がいいだろう」と思う点があれば、自由に契約書に組み込んでいけばよいのです。

 ● 契約で取り決めをしなかったポイントについてはどうなるのか

なお、取引において、当事者間において取り決めがされなかった場合(契約において明確に取り決められなかったポイントがあった場合)には、法律(主に民法)の規定が適用されます。ですから、契約で取り決めがなかったからといって、どちらかの主張がなんでもかんでも通るというわけではないのです。契約書を結ぶことができなかったり、細かいポイントについての取り決めがないシンプルな契約書しか交わせなかったりした場合でも、法律によってあなた自身が守られる場合もありますから、困ったことが起きてしまった時には、法律の専門家にすぐに相談するようにしましょう。

 ● 契約を「締結する(取り交わす)」とはどういうことか

契約は、約束です。「この仕事を、いつまでに頼むよ。いくら払うから」「わかりました」。このように、お互いに明確な意思表示をして合意に至れば、たとえ口頭のやりとりであったとしても、約束としての契約は成立するのです。(なお、騙されて契約をしてしまったり(詐欺)、脅迫(強迫)によって無理やり契約をさせられてしまった場合には、契約の取り消しを行うことができます(民法第96条))

ですが、口頭での約束では、後々「言った」「そんなこと言ってない」といった争いになってしまう可能性があります。したがって、約束した内容は、書面で残しておくことが望ましいものです。メールやLINE、メッセンジャー等でのやりとりであっても契約としては有効となるものですが、そうしたカジュアルなやりとりでは、どうしても、主語が不明瞭な表現や、解釈に幅が生まれてしまうような表現となってしまう場合があります。

ですので、契約における一番望ましい形は、解釈の差異ができるだけ生じないようなカッチリとした表現で書き上げられた「契約書」を取り交わす形でしょう。契約書には、長年の実務上の慣習の積み重ねに基づいて形成された「典型的な形式・表現」が存在します。「こういうことを合意したい時には、こういう項目を置く」というようなことが決まっているのです。解釈のズレがおきないしっかりした契約書を取り交わすためにも、「契約書ひな型」を積極的に活用するとよいでしょう。Wor-Q(ワーク)でも、フリーランスの方々のための「契約書ひな型」を用意しています。ぜひ、ご活用ください。

 ● 「契約書」を「締結する(取り交わす)」とはどういうことか

それでは、きちんとした「契約書」を「締結する」とは、具体的にはどういうことなのでしょうか。「契約書を締結する」と言った場合、具体的な流れとしては、一般的に、「①(どちらかが)叩き台を用意する②各項目について交渉する(双方の希望に沿って、条文を修正したり、項目を追加・削除したりする)③契約を締結する(契約書を作成して双方合意した証を記す)」というステップを踏みます。

(1) まず、どちらかが、叩き台となる契約書を用意します。一般的には、仕事の発注者が用意することが多いものです。契約書とセットで、「この内容で仕事をお願いします」と発注をするのが普通です。ですが、何らかの事情で、仕事の発注者側が契約書を用意してくれない場合には、仕事を受ける側(あなた)のほうで、叩き台となる契約書を用意しなければなりません。Wor-Qで公開されている「ひな型」などを利用して、あなた自身で、あなた自身が取り交わしを希望する契約書の叩き台を作成する必要があります。形式は自由ですが、変更履歴を記録できるMicrosoft Wordなどのファイル形式が望ましいでしょう。契約書というものは、どの項目ひとつとっても、どちらかに有利に傾けばどちらかに不利に傾くような構造になっています。そのため、(叩き台を作成するのは手間ではありますが)一番最初に原案を作成する側のほうが、その後の交渉において有利になるとも言われています。叩き台を作る側としては、自身に有利になる(自身が希望する)契約内容で作成するわけですから、当然ですよね。意識しておきましょう。

(2) 叩き台となる契約書ができあがったら、契約内容の1項目1項目について、交渉をします。まず、叩き台が送られてきた側が、1項目1項目精査して、「この項目は受け入れられない(修正/削除したい)」「この項目も追加したい」と考えた点を、依頼事項として、相手方に戻します。戻された側は、その依頼事項を受け入れることができるかどうかを検討します。こうして、キャッチボールのように、交渉のプロセスを進めていきます。簡単に受け入れられるような「相手方からの要望」もあれば、絶対に受け入れたくない「相手方からの要望」もあるでしょう。受け入れられる項目を互いにひとつずつ受け入れていくと、最後に、それぞれの「受け入れられない項目」が残っていきます。最後は、「こちらはこの項目を受け入れるから、そちらもこの項目を受け入れてほしい」というような交換条件方式で、譲歩しあいながら、契約内容の確定に向けて詰めを進めていきます。最後まで折り合わない項目がひとつでも残れば、契約は合意に至りません。すべての項目で合意に至れば、契約書の「締結」に向かって進みます。(なお、この段階で、あまりにも一方的な押し付けを受けるようなことがあった場合には、実際に仕事が始まってからも一方的な押し付けが続く可能性がありますから、契約の締結を行うべきなのかどうかから再考したほうがよいでしょう。)

(3) すべての項目で合意に至ったら、その証明として、契約書を二部印刷・製本し(製本テープでとめます)、捺印・署名をして、相互に一部づつ保管することが一般的です。なお、契約書に押印がなければ有効とはならない、というわけではありませんが、法律上も慣習上も、捺印をすることで「合意の意思表示があった」と推認されるものです。重要な契約については、相互に捺印を行うことが大切です。

とはいえ、「契約書を紙で印刷し、郵送等でやりとりをし、物理的に捺印をし、相互に保管する」というプロセスは大変煩雑なものです。デジタル化が進んだ現在においては、「電子的に作成された契約書に、電子的に署名をして、電子ファイルとして相互に保管する」という「電子契約」の仕組みが普及してきています。使いかたはカンタンです。できるだけ早く使いかたに慣れて、オンラインでの契約締結をスムーズに行えるようになっておきましょう。

■ 電子契約サービスの例|DocuSign

■ 電子契約サービスの例|CLOUDSIGN

 ▼ 「契約」のパターン

 ● 「請負」か「準委任」か?

実際に契約締結を進めるにあたっては、ベースとなる「ひな型」を選ぶことから始めることが一般的です。契約には、いくつかのパターンがあります。依頼された仕事のかたちに最もマッチするパターンのひな型を選ぶ必要があります。

一般的に、誰かから誰かに仕事を頼むことを「業務委託」といいます。フリーランスとして仕事を頼まれて引き受ける時に、発注者との間で取り交わす契約書は、「業務委託契約」(「業務委託契約」という名称のついた契約書)となることが一般的です。

■ Wor-Q用語集|業務委託

業務委託には、大きく分けて、「請負」型の業務委託と、「委任(準委任)」型の業務委託があり、それぞれ、「請負」型の業務委託契約「委任(準委任)」型の業務委託契約を取り交わすことが一般的です。まず最初に、依頼された仕事のかたちが、「請負」にあたるのか、「委任(準委任)」にあたるのかを判断する必要があるということです。

■ Wor-Q用語集|請負

■ Wor-Q用語集|委任

「請負」型の業務委託契約とは、「当事者の一方が、ある仕事を完成させることを約束して、もう片方が、その仕事の結果(仕事の完成)に対して、報酬を支払うことを約束する」形の契約です(民法第632条)。

完成させるべき成果物について、相互に明確な共通認識があり、片方が(仕事を引き受ける側が)、それをしっかり完成させる義務を負うタイプの契約です。

完成させるべき成果物が明確で、仕事を引き受ける側が、成果物を完成させる責任を負うことに合意でき、成果物の完成をもって報酬を受け取る権利を得ることに合意できる場合には、「請負」型の業務委託契約を選択します。

いっぽう、「準委任」型の業務委託契約とは、「当事者の一方が、ある行為(業務)を行うことを相手方に依頼し、相手方がこれを承諾することを約束する」形の契約です。(法律上(民法上)「委任」とは、法律行為を、誰かにお願いして頼むことを言います。法律行為ではない行為(業務、仕事、作業)を誰かにお願いして頼むことを、「準委任」と呼びます。)

完成させるべき成果物の具体像が明確ではなかったり、仕事を引き受ける側が成果物の完成に責任を負えない(負うことがふさわしくない)場合や、もっぱら業務(仕事、作業)を行うことそのものに価値があって、そのこと自体に報酬を支払いたいと発注側が考える場合には、「準委任」型の業務委託契約を選択します。

※改正民法(平成29年5月26日成立、同年6月2日公布、令和2年4月1日施行)によって、「準委任型においても、業務の成果(成果物の完成、納品・引き渡し)をもって報酬を支払うことを契約で取り決めた場合には、報酬は、その成果の引き渡しと同時に支払うことを原則とする」ことが明文化されました(改正民法第648条の2)。

 ● 都度「(一回限りの)契約書」を交わす形にするか、「基本契約+個別契約型」にするか?

取り交わすべき業務委託契約が「請負」型か「準委任」型かが決まったら、次は、都度「(一回限りの)契約書」を交わす形にするか、「基本契約+個別契約型」にするかを決める必要があります。基本は、都度「(一回限りの)契約書」を交わす形が望ましいでしょう。一回一回の取引ごとに、細かなポイントも含めて丁寧に詳細な取り決めを行っていくことが、双方にとって最も安心だからです。

しかしながら、短期間で終わる仕事の発注が頻繁に繰り返されるタイプの取引関係である場合には、その都度その都度「契約書」を取り交わすことが現実的ではない場合があります。そうしたケースにおいては、まず、「基本契約書」と呼ばれる、個別の仕事の発注条件(なにを、いつまでに、いくらで)を除いた「取引における基本的な取り決め」を定めた契約書をしっかり取り交わしておき、個別の発注については、「契約書の締結」ではなく、比較的シンプルな受発注に関するやりとりで済ませる方式を取ることが一般的です。このケースにおける個別の仕事の受発注に関するやりとりを「個別契約」と呼びます。どのようなやりとりでもって「個別契約」を取り交わすかについても「基本契約書」で取り決めることが一般的です。

あなた自身の仕事のスタイル、発注者との関係性をふまえて、都度「(一回限りの)契約書」を交わす形にするか、「基本契約+個別契約型」にするかを決めていってください。

 ● 契約書ひな型の選択

取り交わす契約書のパターンが決まったら、契約書の内容を詰めていく段階に入ります。まず、Wor-Qが提供している「契約書のひな型」の中から、マッチするパターンのひな型をダウンロードしてください。そのうえで、それぞれのひな型における各項目について、内容の精査・カスタマイズを進めていくことになります。

 2. 「契約書」の中身はどうしたらいいのか

ここからは、Wor-Qの「契約書ひな型」に沿って、各条項が何を意味しているのか(どのような時にどのようなカスタマイズをする必要があるのか)について、ひとつひとつ丁寧に解説をしていきます。初心者の方でもわかりやすいように、法律の専門用語は極力省いて解説をしていきます。

 ▼ 1回限りの契約書(準委任型)

まず、最も利用する頻度が高いと思われる、「1回限りの契約書(準委任型)」について、順番に解説を進めていきます。

 ● タイトル

契約書のタイトルが「業務委託契約書」となっていることを確認します。業務委託を引き受ける側(受託する側)が契約書を作成する場合でも、(「業務受託契約書」ではなく)「業務委託契約書」とするのが一般的です。

 ● 前文

前文とは、契約書の一番冒頭に記述される文章のことで、誰と誰が、どのような契約を取り交わすのかについて、簡潔に宣言するものです。特に、「誰が委託者(仕事を頼む側)で」「誰が受託者(仕事を受ける側)なのか」を明確にすることが重要です。通常、ひな型では「〇〇」「△△」などの当て字が当てられていますから、ここに、当事者の名前をしっかりと記入しましょう。

あなたがフリーランス(個人事業主)として契約を締結する場合には、自身の実名をフルネームで記入します。個人事業主として屋号を届け出ている場合でも、契約の当事者はあくまでも個人としてのあなた自身となりますので、契約書において受託者の名称を記入すべき箇所には、自身の実名をフルネームで記入するか、「〇〇(屋号)こと〇〇(自身の実名フルネーム)」として記入することが通例です。

 ● 第1条(委託業務の内容)

業務委託契約書における根幹となる条文です。「どんな業務を、いつからいつまでの期間、いくらの報酬(委託料)で」委託するのかを取り決める条文です。

「業務内容」の項目には、受託する業務の内容をできるだけ具体的に記述します。ここがあいまいな記述となってしまうと、委託者(発注者)との間に認識のズレが生まれてしまい、あとから、「あれもこれも」と様々な業務を依頼されることになってしまいます。

業務の内容だけではなく、「目安」となる業務量や業務頻度、業務時間を記載してもOKです。また、「ただし、〇〇の業務は委託範囲に含まない」などとして、「受けない業務」を明記するのもよいでしょう。責任範囲を明確にするためにも、できるだけ詳細に記述することが重要です。契約書の第1条の欄に書ききることが困難である場合には、「業務内容」の項目に「別紙Aの通り」などと記入した上で、別ページに「別紙A」と表題をつけて、業務内容についての詳細な記述を緻密に行う形とすることも可能です。この場合には、「別紙A」を、契約書本体と、製本テープでしっかりと綴じこみます(電子契約の場合には、ひとつのPDFとして結合します)。

「業務期間」の項目には、いつからいつまでの期間、業務の委託を行うのかを明記します。これがいわゆる「契約期間」となります。仕事を受ける側としては、できるだけ長い期間に渡って契約をしてもらえるほうが嬉しい、ということもあるでしょう。いっぽう、一度契約をしてしまうと、基本的にはその期間においては責任をもって仕事を引き受ける義務が生じますから、無理のない期間となるように注意する必要もあります。契約期間が長期に渡る場合で、業務を行わない期間(行えない期間)がある場合には、その点を補記してもよいでしょう。

「業務期間」の項目に書き添える形で、「延長」に関する定めを設けてもよいでしょう。「延長」に関する定めを設ける場合には、まず、「契約が自動的に延長されるかどうか」について、定めます。そのうえで、「どちらかが延長を希望しない場合において、いつまでに申し出れば契約を延長しないこととできるのか」を定めます。例えば、「ただし、期間満了の〇か月前までに、委託側・受託側のどちらからも何らの申し出も無い場合には、自動的に1年間延長されるものとする。」といった文言を追記します。こうすることで、期間を延長することとなった場合にも、再度契約書を取り交わすことなく、スムーズに延長を行うことができるようになります。

「委託料」の項目には、最も重要な、業務委託を引き受ける対価としての報酬の額を記載します。消費税額をきちんと明記して、実際の報酬金額の計算において認識のズレが起こらないようにしておきましょう。また、取引の内容によっては、報酬支払に際して、所得税の源泉徴収が行われる場合があります。源泉徴収とは、本来受託者(あなた)が支払うべき所得税を、先立って委託者(仕事の発注者)が差し引いて、代理で納税を行う仕組みです。取引において源泉徴収が行われるのかどうかについても、委託者(仕事の発注者)に確認の上、契約に明記しておくことが望ましいでしょう。

なお、「委託料」の支払は、必ずしも、「業務委託期間の終了後に、全額まとめて」としなければならないわけではありません。「毎月〇〇円」のように定めたうえで、毎月報酬の支払を受けるような形とすることも可能です。また、業務委託を受けた仕事を行うために、あなたが特別な設備や道具を用意しなければならない場合などで、業務期間を通じた委託料の総額を、前払で支払ってもらうような契約とすることも可能です。契約の基本は、<お互いに対等な(公正な)取引条件とすること>です。どちらかに負担やリスクが偏った契約は、健全なものではありません。あなたが提供する業務の(委託者にとっての)価値と、あなたが受け取る報酬の金額とタイミングとが、バランスよく一致するような契約とすることが望ましいでしょう。

 ● 第2条(支払方法)

この条文の中で、支払期日を定めます。支払期日の設定は、資金繰りに直結しますから、非常に重要です。できるだけ早く支払を受けられるよう、期日の設定を行いましょう。支払方法としては、銀行振込型が一般的です。手形・小切手決済など、あなたがリスクを負うことになるような支払方法を受けることはできるだけ避けましょう。なお、銀行振込型とする場合、振込手数料は振込側(委託者側)が負担することが一般的です。銀行振込型とする場合、この条文の下に、振込を希望する銀行口座の情報を記載することも可能です(そうすることが一般的です)。

 ● 第3条(報告)

準委任型の業務委託の場合、「(両者で合意した内容の)仕事(=成果物)を完成させることを約束する」わけではありませんから、仕事を委託する側としては、お願いした仕事がきちんと行われているかどうかを確認したいと思うのが自然です。そのため、契約書の中で「報告」の形式について取り決めを行うことが一般的です。この条文の中で、報告のタイミング(頻度)や、報告すべき内容について、詳細に取り決めを行っておくとよいでしょう。

なお、契約書において定めがない場合でも、法律によって、「仕事を頼んだ側(委託側)から求められた場合には、仕事を受けた側(受託側)は、いつでも受けた仕事の処理状況を報告しなければならない」と定められています(民法第645条)。

ただでさえ頼まれた仕事をしっかりこなすだけでも大変なのに、報告も頻繁にしっかりと行わなければならないとなると、報告作業だけで膨大な時間を取られてしまう、ということもよくあるものです。深夜や休みの日を利用して報告作業を行わなければならないような状態となってしまうと、健康的ではなくなってしまいます。そのため、できるだけ、「報告」を簡易なもの(必要最小限のもの)にとどめられるように交渉し、その旨を契約書に定められるようにするとよいでしょう。そのうえで、必要に応じ臨機応変に追加の報告を自発的に行うようにしていくことで、あなた自身が無理して健康を損ねることもなく、委託者側からの信頼を損ねることもなく、仕事を進めていくことができるようになるでしょう。

なお、実際に業務をはじめてみないと、どんな報告をどれくらいの頻度で行うのが望ましいのか分からない場合もあるでしょう。その場合には、この条文の中で、「ただし、報告の頻度および内容は、〇か月に一回、両者協議・合意の上、定期的に見直しを図るものとする」などと定めておくとよいでしょう。「両者協議・合意の上」という文言を入れておくことがポイントです。そうすることで、どちらかが決めた内容を押し付けられることなく、両者が納得できる内容で決めることができるようになります。

ところで、第3条第2項・第3項に記されているように、「報告した内容の確認期限を定めること」、そして、「何をもって、業務を完了とするか」を定めることも大変重要です。報告をした内容の確認が得られないと、次の作業に進めない、というような場合もよくあります。そのため、報告した内容の確認期限を定めることは非常に重要です。また、準委任型の業務委託の場合、「(両者で合意した内容の)仕事(=成果物)を完成させることを約束する」わけではありませんから、何をもって「頼まれた仕事を終えた」ということにするのかを決めておかないと、後々トラブルになる場合があります。「報告」をもって業務を完了とすることとし、その「報告」の内容の「確認」をもって検収を完了したものとすることで、以降の修正作業や追加作業は「別の仕事」として「別料金」を要望することができるようになります。

 ● 第4条(秘密保持)

業務委託で仕事を受ける場合、委託側から、たくさんの情報を受け取ることになります。秘密を守ることはビジネスの基本です。基本的には、どのような情報であっても、自分の判断で第三者に漏らすことは避けるべきです。万が一、委託側の秘密を第三者に漏らしてしまい、その結果として委託側に損害を与えてしまった場合には、損害賠償責任を負うこととなってしまいます。委託側から受け取った情報の管理は厳格に行うようにしましょう。「〇〇という会社から△△についての仕事を受託しているんだよ」という情報そのものも、軽率に口外してよいタイプの情報ではありません。

とはいえ、「何が秘密かどうかわからない」状況の中で、委託側から受け取った情報のすべてを厳格に管理しなければならないというのでは、受託側の負担とリスクが非常に大きくなってしまいます。そこで、「秘密である、ということを明示して開示された情報のみを秘密として扱う」ということを契約書で定めておくとよいでしょう。

なお、たとえ自分がどれだけ注意して秘密を口外しないようにしていたとしても、情報の入ったパソコンを盗難されたり、セキュリティ対策を怠ってハッキングされてしまったりした場合でも、「秘密情報を漏洩してしまった」ということになります。PCまわりのセキュリティ対策もしっかりと行っておくようにしましょう。

 ● 第5条(再委託の禁止)

「再委託」とは、業務委託を受けた仕事を、別の誰かにさらに委託することをいいます。「引き受けた仕事を、マージン(手数料)を引いた上で、別の誰かにまるまる横流しする」というようなことをされてしまうと、委託側は困ってしまいますから、一般に、契約書においては「再委託の禁止」が定められます。

しかしながら、受託側としては、「どうしても、自分の能力では、委託側が求める品質の仕事を完遂できない」と分かった場合や、「深刻な体調不良・病気等で、期間内に受託した業務を行うことができない」と分かった場合などに、他の誰かに仕事を頼んで、助けてもらいたいと考える場合があります。そのような場合に備え、「あらかじめ書面により委託者の承諾を得た場合」などの条件付きで再委託が認められる場合もあることを契約書に記載しておくことが望ましいでしょう。また、「受託者から申し出があった場合において、合理性が認められる場合には、原則として、委託者は、再委託を認めるものとする」などと追記できればベストでしょう。

 ● 第6条(権利義務の譲渡等の禁止)

契約においては、委託側、受託側、それぞれが、どんな権利をもち、どんな義務を負うのかについての定めを置きます。一般的には、「委託側は、受託側に、契約で定めた内容の仕事をしてもらう権利を持ち」「受託側は、仕事をする対価として委託側から報酬を受け取る権利を持つ」こととなります。このように、特定の誰かが特定の誰かに何かをすることを要請することのできる権利を「債権」と呼びます。

こうした「債権」は、権利でありますから、権利を持つ側が、基本的に、自由に第三者に譲渡することができるものとされています(民法第466条)。しかしながら、いくら「権利」だからといって、相手側の同意を得ることなく、その権利を第三者に譲渡されてしまうとすると、「義務」を負う側は困ったことになってしまう場合があります。そのため、契約書において、「権利義務の譲渡等の禁止」を定めることが一般的です。いくら、「仕事の内容が同じで、受け取れる報酬が同じ」であったとしても、「相手方がどんな人(会社)かどうか」でもって取引を行うことが一般的ですから、いきなり相手方が変わってしまうと困ってしまいますよね。この項目についてはいわば「お互い様」ですから、この項目を含めた契約書を交わすのが一般的です。(なお、契約書で定めた権利義務関係のすべてを含めた契約当事者としての立場をまるごと違う誰かに移すことを「契約上の地位の移転」といいます。)

なお、仕事を受ける側としては、「仕事をしたのに報酬を払ってもらえない」ような場合に、報酬を受け取る権利(「売掛債権(売上債権)」とも呼ばれます)を第三者に譲渡したいと考えるような場合があるでしょう。また、資金繰りのため、売掛債権を弁済期(支払期限)よりも早く(金額を割り引いてでも)第三者に譲渡したい、と考えるような場合もあるでしょう。改正民法のもとでは、(中小企業等の資金調達を円滑化することを主たる目的として)たとえ契約書において債権譲渡を禁止する文言を記したとしても、債権譲渡の効力は妨げられないこととなりました(民法第466条2項)。この点に関する詳細は専門的な内容となりますので、本稿では割愛させていただきます。専門的なアドバイスが必要な場合には、ぜひ、Wor-Q(ワーク)の弁護士相談サポート窓口をご利用ください。)

 ● 第7条(損害賠償)

契約は約束です。約束を守れなかったことによって、相手方に損害を負わせてしまった場合には、損害を賠償する責任を負わなければならないことになります。契約書で定められていなかったとしても、法律においても、そのように定められています(民法第415条(債務不履行による損害賠償))。(なお、契約に定められた約束を守れなかった場合だけでなく、故意または過失によって相手方の権利または法律上保護される利益を侵害してしまった場合にも、法律によって、損害を賠償する責任を負うことになります。(民法第709条(不法行為による損害賠償)))

しかしながら、個人で仕事を引き受けているフリーランスが、責任ある大きな仕事を引き受けることとなった場合に「万が一」の出来事が起きて相手方に大きな損害を負わせてしまうこととなり、結果として膨大な金額の損害賠償責任を背負うことになってしまうのだとすると、そうした仕事を引き受けるリスクはとても大きなものとなってしまいます。

そのため、損害賠償責任の上限を設定するために、契約書の「損害賠償」に関する条文の中に「本契約の委託料を上限として」というように文言を置くことで、仕事を受ける側としての万が一のリスクを抑えることができます。

損害賠償は非常に大きなテーマです。さらに深く勉強したい、という方は、ぜひ、Wor-Q MAGAZINE第3号「徹底解説!「損害賠償」をしっかり理解して<強いフリーランス>を目指そう」をお読みください。また、Wor-Q(ワーク)では、万が一のための備えとしての「賠償補償制度」を、「Wor-Q(ワーク)共済」のオプションのひとつとしてご用意しています。ぜひ一度パンフレットをご覧いただいて、加入をご検討ください。

 ● 第8条(不可抗力)

仕事を引き受けている側としては「どうしようもない事情で」、契約で定めた約束を守れなくなってしまう場合もあります。そのような場合でも、「約束違反だ」として責任を追及されたらたまりませんよね。そこで、契約書において、そのような「どうしようもない事情(「不可抗力」と呼びます)」が原因となって約束を守れなかった場合には(互いに)責任を負わなくてよいものとするよ、ということを定めることが一般的です。

「天災地変、戦争、内乱、暴動、疫病、感染症の流行等」のように、不可抗力の具体的なケースについては具体列挙を行うことが一般的です。このように「感染症の流行」という文言を具体列挙項目のひとつに含めることで、新型コロナウイルス感染症に関連した「やむをえない事情」が直接的原因となって約束を守ることができずに委託側に損害を与えてしまった場合には免責となる、ということを予め明確にしておくことができます。しかしながら、実際には(実務的には)「約束を守れなかった理由が本当に直接的に新型コロナウイルス感染症の影響によるものなのか?」を立証しなければ免責されない場合もあります。また、そのような不可抗力があった場合でも、受託者側に過失があった場合には免責されない場合もあります。注意しましょう。(契約に関する個別具体的な専門的なアドバイスを必要とする場合には、ぜひ、Wor-Qの弁護士相談サポート窓口をご利用ください。)

「逆に、仕事を頼んだ側(委託側)が、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上や資金繰りに影響を受けてしまった場合において、「定められた期日までに定められた金額の報酬を支払う」という約束を果たせなくても責任を負わなくてよいのか?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。法律上、こうした「お金を支払う約束(金銭債務)」については、不可抗力を理由としても免責を主張できないこととなっています(民法第419条第3項)。この点をより明確にするために、「ただし、委託者の金銭債務に関する履行遅延・不能等については、不可抗力によっても免責されないものとする」などと追記するのもよいでしょう。

 ● 第9条(解除)

まず、大前提として、契約を取り交わした場合には、その契約で定めた期間の最初から最後まで、互いに責任をもって、契約で定められたとおりに約束を守ることが基本です。仕事を頼んだ側(委託側)であれ、仕事を受けた側(受託側)であれ、簡単には途中で「解除」することはできないと考えるべきです。正当な理由なく、片方が一方的に「契約解除」を申し出てきて、それが通ってしまうとするならば、安定した取引関係を築くことはできないですよね。

しかしながら、どう考えても、どちらかに問題があり、それによってどちらかが不利益を被っている状態にあり、契約をそのまま継続することが合理的ではないと考えられる場合には、契約を解除できるようにしておきたいと考えるのもまた、自然なことです。そのため、契約書において、「一方的に(片方の希望によって)契約を解除できる」ケースについて、具体列挙をしておくことが一般的です。

まず、相手方に「契約違反」があった場合には(一方的に)契約を解除できる、とするのが一般的です。お願いした仕事が約束通り行われていない、などと言った場合も、契約違反にあたります。とはいえ、このような場合には、いきなり契約解除ということではなく、「催告(「仕事を約束通り行って下さい、このままだと契約を解除しますよ、という警告」)」を行い、一定期間の猶予を設けたうえで解除権を有効とする形とするのが一般的です。

いっぽう、「重大な違反」(例えば、秘密保持条項を破った場合など)があった場合や、相手方が破産手続を開始した場合等においては、催告なしで、直ちに契約を解除できるようにすることが一般的です。

なお、双方で協議をし、合意形成ができた場合であれば、契約で定めた期間の途中であっても契約を打ち切ることも可能です。そのような場合であっても、後々トラブルが生じないように、「契約解除合意書」のような書面を作成し、解除に関する諸々の条件を明確にしたうえで、契約を終了させることが一般的です。

ところで、契約書に定められた「契約解除事由」には該当しないものの、さまざまな事情によって、一方的に契約の解除を行いたい、と考えるようなケースが、仕事を頼んだ側(委託側)であれ、仕事を受けた側(受託側)であれ、それぞれに起こり得るものです。このような、「一方的希望による中途解約」は、可能なのでしょうか。本節の冒頭で記述した通り、基本的には、いかなる事情があるにせよ、一方的な希望で約束を途中で破棄するわけですから、相手方から損害賠償を請求されるリスクがあることを忘れてはいけません。

準委任型の契約の場合には、法律上は、「各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定められています(民法第651条)。ただし、やむを得ない事由がないのに「相手方に不利な時期に委任を解除したとき」や「委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき」には、相手方の損害を賠償しなければならない、と定められていますから、注意が必要です(民法第651条第2項1号・2号)。「委託側からいきなり契約を打ち切られて困ってしまっている」という場合や、「受託側だけれども、あまりにも過酷な仕事なので、途中で契約を切りたいと思っている」というような場合には、まずは、できるだけ早く法律の専門家に相談するようにしましょう。(契約に関する個別具体的な専門的なアドバイスを必要とする場合には、ぜひ、Wor-Qの弁護士相談サポート窓口をご利用ください。)

 ● 第10条(契約の中途終了の場合の報酬請求)

ここまでで見てきたように、第9条で定めた解除事由に相当する場合で解除に至った場合や、「その他の事由(合意による契約解除、一方的希望による中途解約)」で解除に至った場合における委託料の金額についても、あらかじめ契約で定めておくことが一般的です。

準委任型の場合、通常は、「履行割合に応じた額の委託料を支払う」と定めることが一般的です。この場合、たとえば、期間を通じて同一の業務を継続的に行う契約であった場合には、12か月の契約のうち、6か月で契約が終了となった場合には、契約書で定めた委託料の1/2の金額の支払を受けられることとなります。

 ● 第11条(反社会的勢力の排除)

法令等遵守(コンプライアンス)は、あらゆるビジネスにおける基礎にあるべきものです。いかなる事情がある場合でも、反社会的勢力と関係を持つことは断固として避けなければなりません。いくら高額な報酬が得られるからといって、反社会的勢力からの仕事の発注を受けてはなりません。あなた自身も、その責任を問われることとなります。

契約を締結するにあたっては、いわゆる「反社チェック」を行い、相手方が反社会的勢力に相当しないかどうかを入念に確認する必要があります。ノウハウのないフリーランスが「反社チェック」を行うにしても限界があるかもしれませんが、仕事の内容として違法性を孕んだ(はらんだ)案件ではないかどうかをしっかりと確認することを怠らないようにしましょう。

そのうえで、契約においても「反社会的勢力の排除」に関する条文を置くことで、相手方を牽制することができるようになります。具体的には、相手方が反社会的勢力と関わりがあることが判明した場合には、速やかに契約を解除することができる権利を持つことを明記することで、相手方を牽制することができるようになります。

なお、ひな型の条文に記載されている通り、あなた自身が、反社会的勢力とされる相手から頻繁に仕事を受け、そのことで「(社会的に非難されるべき)密接な関係を有している」と認定された場合には、他の(反社会的勢力ではない)相手と取り交わした契約も、先方から解除されてしまうこととなります。どんなに仕事に困っているときでも、取引相手が反社会的勢力に該当するような存在でないかどうか、必ず入念に精査するようにしましょう。

ところで、相手方が「反社会的勢力」である、と定義・認定することは簡単ではない場合があります。そのため、本契約書ひな型第11条第2項第6号のように、「暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求行為、脅迫的な言動、暴力および風説の流布・偽計・威力を用いた信用毀損・業務妨害その他これらに準ずる行為に及んだとき」は、相手方が反社会的勢力に該当すると認められた場合と同様に契約を解除できる、ということを契約で明確にしておくことが重要です。フリーランスの立場の弱さにつけこんで、不当要求をしてきたり、威圧的な言動を取ってきたりする取引先は、反社会的勢力同様に許されるべきではありません。必要に応じ、契約解除を行ったうえで、しかるべき損害賠償請求を行うようにしましょう。(契約に関する個別具体的な専門的なアドバイスを必要とする場合には、ぜひ、Wor-Qの弁護士相談サポート窓口をご利用ください。)

 ● 第12条(存続条項)

基本的に、契約書で定める項目は、契約期間(業務委託の期間)においてのみ有効となるものですが、契約書において「存続条項」を設けることで、契約期間(業務委託の期間)が終了した後でも、一部条文の効果を有効に存続させることができるようになります。

たとえば、秘密保持に関する条文、損害賠償に関する条文、管轄に関する条文は、契約期間(業務委託の期間)が終了した後に問題が発覚した場合に備えて、存続条項を設けることが一般的です。

 ● 第13条(管轄)

万が一、契約内容に関連するトラブルが起き、話し合いでは決着がつかず訴訟にまで発展した場合に、どの裁判所を「第一審を行う裁判所」とするのかについて、契約書の中で予め取り決めておくことが一般的です。

当然、自身の居住地・事業拠点に近い裁判所を専属的合意管轄裁判所とすることで、万が一訴訟となった場合にでも、遠方の裁判所に出向く必要がなくなるために、有利であると言えます。仮に、弁護士さんに出張をお願いすることとなった場合には、それだけで日当や出張費用として高額な料金がかかってしまうこととなるからです。近年では、裁判手続のIT化(リモート対応)も進んではいるものの、やはり、自身の居住地・事業拠点に近い裁判所を専属的合意管轄裁判所としておくほうが、もしものときに安心であると言えましょう。

管轄に関する取り決めは、ある意味で、双方の力関係をストレートに表す条文であるとも言えます。一般的に、この項目は、仕事を頼む側(委託側・発注側)の所在地に近い裁判所が指定されることが多いものです。例えば、東京にオフィスがある会社からの業務委託の契約書である場合には、東京地方裁判所が指定されることが多いものです。

最近ではリモートワークも増え、遠方の取引先の業務委託を受けるケースも増えてきていると言われています。委託側、受託側、どちらの所在地に近い裁判所を専属的合意管轄裁判所とするかが交渉事となるケースも増えてくることが予想されます。参考までに、法律においては、「訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する」とされています(民事訴訟法第4条第1項)。立場が弱いフリーランスは、どちらかというと、取引先を訴えることよりも、訴えられるリスクのほうを意識する方が多いでしょう。上述の通り、法律上は、「訴えられる側の所在地を管轄する裁判所」で裁判を行うことが原則となっています。委託側と対等な取引関係を築き上げていくための第一歩として、「管轄」の項目を、自身の所在地を管轄する地方裁判所を指定する形とすることにトライしてみてもよいかもしれません。

 ● 第14条(協議事項)

契約書の一番最後に置かれることが多い項目ですが、意外に重要な項目ですので、きちんと注目するようにしましょう。業務委託の仕事をしていく過程においては、さまざまな意見の食い違いなどが発生するものです。そのような時であっても、力の強い委託側が一方的に物事を決定できるわけではないということを明確にしておきたいものです。そこで、この「協議事項」に関する条文が重要になります。この項目を置くことで、「当事者間での誠実な協議によってトラブルを解決する」ということが契約上の義務として合意されることになります。委託側が、「話し合いには応じない」「いいからやれ」などと強要してくるような場合には、それは協議事項に関する定めに関する契約違反となります。対等な取引関係を築き上げていくためにも、契約書の中には、協議事項に関する定めを必ず含めるようにしていきましょう。

 ● 最後に

契約書の内容について最終的に合意に至った日を日付として記したうえで、相互に名前と所在地を記して、押印をします。そして、相互に1部ずつ保管します。これにより、「契約書が締結された」ということになります。以上で、「1回限りの契約書(準委任型)」の解説は終わりです。

 ▼ 基本契約+個別契約型(準委任型)

続いて、基本契約書を取り交わすケースについて見てみましょう。基本契約に特徴的な項目について重点的に解説を行い、「1回限りの契約書(準委任型)」と同じ項目については解説を省略します。

 ● 第1条(適用範囲)

まず、基本契約書が適用される範囲を明確にしておきます。なんの業務の委託に関する契約に関して、この基本契約書を適用することとするのか、明記します。なお、個別の契約(都度都度の発注)の中で、基本契約書で定めた内容の一部を変更したい場合には、個別契約において明記すればそちらが優先されるように、基本契約の中で定めておきます。

 ● 第2条(個別契約の成立)

何をもって個別契約の成立とするかを定めます。ひな型においては、幅広い方法を認める書きかたとなっていますが、もちろん、より具体的に、「別途定める様式での個別契約書の取り交わしにより」と規定したり(その場合には、基本契約書に中身が空の「個別契約書」を綴じこんで、「この様式で個別契約書を取り交わす」ということを明確にします)、より簡易に個別契約の取り交わしを行う形としたい場合には「委託者がメールで第3条記載の項目を受託者に連絡し、受託者がこれを承諾する内容のメールを返信することにより」などと規定したりする形とすることも可能です。

 ● 第3条(本業務の内容等)

「個別契約において最低限取り決めるべき事項」を定めます。

以上、第1条~第3条までが、基本契約書ならではの項目です。第1条~第3条を通じて、どのような形で、都度都度の受発注における条件を明確化するための「個別契約」を取り交わしていくこととするのかを定めていくわけです。そして、第4条以下を、基本契約の段階で取り決めておくことで、以降取り交わす個別契約においても(第4条以下の内容を)一律適用していくものとすることで、個別契約の度に毎度毎度事細かな点まで取り決めなくてもよいようにしていく、というわけです。

 ● 第4条(報告)~第16条(協議事項)

条文の意味合いは、「1回限りの契約書(準委任型)」の解説の章で示した通りです。必要に応じてカスタマイズをしていってください。

 ▼ 1回限りの契約書(請負型)

続いて、請負型の業務委託の場合の「1回限りの契約書」について解説を進めていきます。

「請負」は、完成させるべき成果物について相互に明確な共通認識があり、片方が(仕事を引き受ける側が)その成果物をしっかり完成させる義務を負うタイプの契約です。それゆえに、委任型(準委任型)とは異なる特徴的な契約項目があります。その項目を中心に解説を行い、準委任型の契約と同じ項目は解説を割愛します。

 ● 第1条(委託業務の内容)

まず、第1条で、委託される業務の内容についてしっかりと定義を行います。請負は、何かしらの仕事を完成させることを目的とするものです。ただ単に業務を行うことそのものではなく、その結果として、なんらかの成果(結果)を生じさせることを任される、というのが「請負」なのです。したがって、請負にかかる業務委託契約書においては、「どのような成果(結果)の実現を目的とするのか」に主眼を置いて、委託業務の内容を定義します。(請負においては、必ずしも、有形の完成物が目的とされる場合のみとは限りません。「~~~を~~~のような状態にすることを目的とする」というような、無形の成果(結果)を実現させることが目的とされる場合もあります。どのような形の成果(結果)であっても、受託者側が「ある状態を実現させる」ことに対する義務を負い、「ある状態が実現できた」ことをもって、成果報酬(成功報酬)的に報酬が支払われる形の約束であれば、請負型の契約となります。(なお、改正民法においては、準委任型においても、委任された業務の遂行の結果としての成果に対して報酬を支払う「成果完成型」と呼ばれる契約類型が明文化されました(民法第648条の2)。請負と、成果完成型の準委任の法的な意味合いの違いについては専門的な論点となりますので、個別具体的な専門的なアドバイスを必要とする場合には、ぜひ、Wor-Qの弁護士相談サポート窓口をご利用ください。)

有形物の完成を目的とする請負の場合には、納入期日や納入方法についても明確にしておくことが重要です。とりわけ、納入方法については、「委託者が取りに行く」のか「受託者が渡しに行く」のか、それぞれの場合において「どこまでどうやって行くのか」「その費用負担はどちらが行うのか」といったポイントを明確にしておくことが重要です。

後述の通り、請負においては、出来上がった完成物が期待通りの(合意通りの)仕上がりになっているかどうかを「検査」する形とすることが通常です。検査の結果、合意された水準に達していない場合には、受託者は何かしらの「埋め合わせ」をすることが求められることになりますし、場合によっては、損害賠償の請求を受けることになる場合もあります。そのため、この第1条において、完成物の品質、機能要件等についてもしっかりと定義しておくことが重要になります。(準委任型の契約同様、完成物の定義の記述量が膨大になる場合には、別紙を設ける形とすることも可能です。)「モノ(状態)ができあがればいい」というわけではないのが通常ですから、「どのような品質の(どのようなことができるレベルの)モノができあがっていること(状態となっていること)が期待されるのか」についての記述が重要になる、ということです。

 ● 第2条(支払方法)

準委任型の契約とポイントが同一ですので、解説を割愛します。

 ● 第3条(検査)

準委任型の業務委託の場合においては、業務を行うことそれ自体が目的となりますので、業務がしっかりと行われているかを「報告」し「確認」することが、契約内容が契約通り履行されているかを確かめる重要な手段となります。

いっぽう、請負型の業務委託の場合には、「仕事の完成」に目的が置かれていますので、完成物を納入(引き渡し)した後の「検査」が、契約内容が契約通り履行されたのかを確かめる重要な手段となります。

そのため、請負型の業務委託契約書においては、どのような形で「検査」を行うこととするのかを予めしっかりと取り決めておくことが一般的です。特に、検査開始から検査結果の連絡までの期間を定めることが重要なポイントになります。

 ● 第4条(契約不適合責任)

そして、検査の結果、契約で定めた内容・水準の成果となっていないことが明らかになった場合に、受託者がどのような責任を負うのかについて明確にしておきます。これを「契約不適合責任」といいます。なお、限られた検査期間においては、十分に検査を行いきれない場合があります。そのような場合に、受託者が「いつまで」契約不適合責任を負うことになるのかについても、あわせて、契約で明確にしておきます。

受託者としては、この期間が長くなればなるほど、「万が一」の時に備えておかなければならないこととなるわけです。一方で、委託者としては、この期間が短すぎると、「万が一」があった場合のことを考えると不安になってしまうわけです。ですので、通常、この項目については契約締結時に交渉が発生することが多いものです。委託料の交渉とセットで、希望より低い委託料を受け入れざるを得ない場合には、この契約不適合責任の期間を短くしてもらうようにする、といった交渉も有用ですから、覚えておきましょう。

 ● 第5条(所有権)

請負は、仕事の完成を依頼する契約です。そのため、完成した成果物の所有権は通常当然に委託者に移転することとなるわけですが、「いつ(どのタイミングで)」所有権が移転することとなるのかについても、契約で定めておくことが重要です。

「受託者が委託者に成果物を納入した時に受託者から委託者に移転する。」とした場合には、成果物を納入する前の段階においては、受託者に所有権が帰属している、ということになるわけです。

請負期間が長期に及ぶ場合、途中で、委託者が何かしらの事情で報酬を支払えないような状況に陥ってしまうようなことも可能性としては想定されます。このようにしておくことで、納入前の段階から所有権を主張されることを防ぐことができるようになります。

 ● 第6条(知的財産権)

いっぽう、受託した業務が、知的な創造物の制作であった場合においては、知的財産権の帰属についても明確にしておく必要があります。「所有権は委託者に移転することとするものの、知的財産権はその後も(納入に伴う所有権の移転後も)受託者に帰属させたままとする」ような取り決めを行うことも可能です。

たとえば、あるものを請負によって制作して取引先に納品した後、そこに込められたノウハウや独自の創造性を丸ごとコピーして、相手方(請負の仕事を委託してきた相手)が自身の知的創造物であるかのようにして好き勝手に利活用・転用されてしまうと困ってしまう場合があります。もしくは、あなたの制作物であるにもかかわらず、勝手に表現を改変されたうえで、制作者としてあなたの名前を出されてしまっては困ってしまう場合もあります。そのため、知的財産権については、所有権とは別に、帰属に関する取り決めを念入りに行っておくことが極めて重要になるのです。

著作権法第27条および第28条においては、翻訳・翻案等によって生み出された二次的著作物に関する権利が定められています。こうした二次的著作物を作る権利、それから、そうして作られた二次的著作物に関するもろもろの(現著作物に対して有するのと同一の)権利も、著作者が有する著作権なのです。「著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む。)」とわざわざ明記されているのは、著作権法第61条において、「著作権を譲渡する契約において、著作権法第27条及び第28条に定める権利が譲渡の対象になることが特掲(明記)されていない場合には、これらの権利は、譲渡した者(=著作者)のもとにとどまる」という主旨の内容が定められているからなのです。著作権法には、さまざまな形で、著作者を保護するための規定が設けられています。そこで、契約によって、請負人がつくりだした著作物に関する権利を委託者に移転させる場合には、厳密な(詳細な)取り決めが必要になる、というわけなのです。

なお、上述の例に示したような「氏名表示権」や「同一性保持権」などの著作者としての人格に関する権利(著作者人格権と呼びます)も、著作権法上、著作権とは別の権利とされており(著作権法第17条および第18条から第20条)、契約において「著作権」を譲渡するとした場合でも、著作権人格権は著作者に残るものとされています(著作者人格権は「譲渡できない」性質のものであるとされています)。そのため、契約書において、「著作者人格権を行使しないものとする」などといった文言が設けられる場合もあります。もしもそのような文言の入った契約を取り交わした場合には、あなたがつくりあげた著作物であるということを表示したり/しなかったりすることを自分自身でコントロールする権利をも失うこととなりますので、注意するようにしましょう。

(著作権についてさらに詳しく学びたい方は、こちらの相談事例集もお読みください。)

 ● 第7条(危険負担)

第5条では、所有権の移転時期を定めました。この点に関連した重要な論点があります。それは、請負業務の期間中に、何らかの事故等が起きた場合に、そこで生じた損害をどちらが負担するのか、という論点です。これを「危険負担」に関する論点といいます。

通常は、所有権が帰属している側が、その期間における危険を負担するのが一般的です。ただし、その場合においても、相手方に責任があって生じた危険に関しては、その相手方が危険負担をすることを明確にしておくことが一般的です。

 ● 第8条~第12条

準委任型の契約とポイントが同一ですので、解説を割愛します。

 ● 第13条(解除)

準委任型の契約と同じように、どちらかが一方的に契約を解除することのできる条件を定めておきます。

なお、法律上、請負型の業務委託の場合、「仕事が完成しない間は」、注文者は、いつでも、損害を賠償することで、契約の解除をすることができる、とされています(民法第641条)。逆に言うと、請負を受けている側は、一方的に契約の解除をすることができない、ということになります。万が一、求められている水準の完成物を完成させることができない、ということになった場合には、注文者(委託者)に申し出たうえで、契約を合意解除してもらうか、第13条に定められた「契約違反に基づく委託者側からの解除」を行ってもらうかをするより他ありません。その場合には、報酬の扱いについても注文者(委託者)の意向が反映されることが多いですし、損害賠償を請求される可能性も高いですから、注意が必要です。

一方、例えば、仕事の完成に必要な材料を注文者(委託者)が準備・提供する約束になっていたにも関わらず、これを準備・提供してくれないなど、注文者側に責任があって、仕事を完成させることができない状況に陥ってしまった場合についてはどうでしょうか。この場合には、注文者(委託者)側の契約違反となりますから、契約書の第13条に基づき、請負人(受託側)が解除権を行使できることとなります。この点を更に明確にするために、契約書の中に「委託者の義務」という項目を設けて、「委託者は、受託者が請負業務を行うために必要な情報や材料を、適宜適切に提供するものとする」などと記しておくことも有効でしょう。

 ● 第14条(契約の中途解除の場合の報酬)

ひな型においては、「委託業務完成前に契約が中途解除された時は、受託者が既にした業務の割合に応じて委託者に対して報酬を請求することができる。」という条文が置かれています。仕事が完成する前であっても、「受託者が既にした業務の割合に応じて」報酬を請求することができる、という取り決めとなっています。

この条文も、契約締結時に交渉になりやすい項目です。注文者(委託側)からすれば、中途半端な未完成状態の段階で終わってしまったにもかかわらず、「受託者が既にした業務の割合に応じて」報酬を支払わなければならなくなってしまうとするならば、困ってしまう場合もあるでしょう。「注文者が受ける利益の割合に応じて」などとすることで、いくら途中まで作業が進んでいたとしても、注文者にとってまったくなんの利益も得られていない状態にあるとするならば、報酬の支払いを行わない、とする取り決めとすることも可能です。このように、本来であれば、「どのような場合に解除を認めるか」「解除を行った場合の報酬の扱いをどうするか」というポイントひとつとっても、さまざまな場合を想定しながら、緻密に契約条件を定めていく必要があるものです。期間が長く、金額も大きい大規模な請負型業務委託の契約を取り交わす必要が出た場合には、できるだけ、法律の専門家にアドバイスを受けるようにするべきでしょう。個別具体の専門的なアドバイスを必要とする場合には、ぜひ、Wor-Qの弁護士相談サポート窓口をご利用ください。)

 ● 第15条~第18条

準委任型の契約とポイントが同一ですので、解説を割愛します。

以上で、「1回限りの契約書(請負型)」の解説は終わりです。

 ▼ 基本契約+個別契約型(請負型)

続いて、基本契約書を取り交わすケースについて見てみましょう。「基本契約+個別契約型(請負型)」も、「基本契約+個別契約型(準委任型)」と同じ構造になっています。

第1条~第3条までが、基本契約書に特有の項目です。第1条~第3条を通じて、どのような形で、都度都度の受発注における条件を明確化するための「個別契約」を取り交わしていくこととするのかを定めていくわけです。そして、第4条以下を、基本契約の段階で取り決めておくことで、以降取り交わす個別契約においても(第4条以下の内容を)一律適用していくものとすることで、個別契約の度に毎度毎度事細かな点まで取り決めなくてもよいようにしていく、というわけです。

基本契約書の第1条~第3条に関する解説は、「基本契約+個別契約型(準委任型)」の解説をご覧ください。

 3. 結び(まとめ)

以上で、契約書ひな型の解説は終わりです。本特集で基本的なポイントを押さえたうえで、自身で契約書を作成したり、先方が作成した契約書を確認したりする際に役立ててください。

契約は約束です。弱い立場にあるフリーランスを守ってくれる最大のツールです。以下の相談事例も参考としてください。

契約は、弱い立場にあるフリーランスを守ってくれる最大のツールとなる一方で、契約を取り交わすことで、重たい責任を背負わされることになる場合もあります。契約は、取引の内容によって、ケースバイケースで細かく内容を詰めていく必要があるものです。「どんなときでも同じ内容で問題ない」というような単純なものではありません。不安な時は、必ず、弁護士等の法律の専門家のアドバイス・サポートを受けるようにしましょう。

なお、連合ネットワーク会員(登録無料)に登録していただきますと、1回30分、無料で、弁護士さんに電話相談できるようになります(※初回のみ無料です。無料相談では、働くことにまつわる法律や法制度に関する一般的なアドバイスをさせていただきます)。もしものときに備えて、早めの登録をおすすめします!

また、どんな契約を交わしていても、損害賠償責任を負うリスクをゼロにはできません。万が一の備えとして、保険(共済)に加入しておくことも大切なことです。Wor-Q(ワーク)では、万が一のための備えとしての「賠償補償制度」を、「Wor-Q(ワーク)共済」のオプションのひとつとしてご用意しています。ぜひ一度パンフレットをご覧いただいて、加入をご検討ください。

契約も、経験がものを言います。発注者(委託側)から提示された契約書をノーチェックで受け入れるのではなく、ポイントを押さえた確認をスピーディに行えるようになることで、フリーランスとしてのレベルがグンと上がります。諦めずに、粘り強く学習を積み重ね、積極的に経験を積み重ねていってください!

本特集に掲載しております情報は、正確を期すべく、しっかりと確認を行っておりますが、あくまでも参考としてご利用いただきますようお願いをいたします。

構成:旦悠輔(Wor-Q管理人 兼 Wor-Q Magazine編集長)

大学卒業後16年間に渡り大手コンサルティング会社・大手ポータル企業等でIT関係の仕事に従事したのち、フリーランスとして独立。Webサイト運営に関するコンサルティングから、システム設計・開発・運用、コーディング・デザイン、そして中身のコンテンツの企画制作(文章/イラストレーション&グラフィック/写真&映像)に至るまでオールマイティにこなすマルチフリーランサー。個人事業主としての屋号も、「肩書や職種の枠組にこだわらず、課題解決やイノベーションのために必要なことはなんでもやる」という決意をこめて「旦悠輔事務所」としている。当事者(フリーランス)のひとりとして、「フリーランスという働きかた」に関するさまざまな課題を解決に向かわせていきたいという思いをもって、Wor-Qの運営に携わっている。

公開中特集一覧

•特集第9号50年後も生き残る!フリーランスのためのスキルアップ&キャリアアップ戦略ガイド」(2021年11月9日公開)
•特集第8号決定版!フリーランスのための【契約書の結びかた】徹底ガイド」(2021年10月11日公開)
•特集第7号フリーランスが労災に備えるには -共済・保険について考える-」(2021年9月9日公開)
•特集第6号フリーランスの出産・育児、そして介護を考える」(2021年6月30日公開)
•特集第5号フリーランスの【報酬】を考える~働いたら「報われる」社会を目指して~」(2021年5月31日公開)
•特集第4号フリーランス1年目をどう生きるか」(2021年4月30日公開)
•特集第3号徹底解説!「損害賠償」をしっかり理解して<強いフリーランス>を目指そう」(2021年3月31日公開)
•特集第2号フリーランスとして生き延びていくための「消費税/インボイス制度」徹底解説」(2021年2月28日公開)
•特集第1号コロナ禍で苦しむフリーランスの方々のための「2021年/令和2年分確定申告」お役立ち情報」(2020年12月28日公開)