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働くみんなの連合サポートQ

相談事例集

Q
フリーのアニメーターです。アニメ業界全体として制作本数が多いため、制作スケジュールがタイトで、夜中まで働くこともザラです。出来高払いなので、結果として最低賃金以下になっています。
A
労働者であれば、最低賃金の支払や残業代の請求が考えられます。 フリーランスでも、不当に低廉な対価を一方的に決定することは、優越的地位の濫用となるおそれがあります。実態を調査して是正を求めていくべきです。

解説

「フリー」のアニメーターとのことですが、まずは、あなたが「労働者」であるか否かを検討するべきです。アニメーターには、実際労働者と同じような働き方をしている人も相当数います。そのような方たちは、労働法の保護を受けます。労働者か否かは、契約書の文言等に関係なく、働き方の実態に基づいて判断することになります。具体的には、業務について諾否の自由があるか、制作の内容や方法について具体的な指揮命令を受けているか、勤務場所や勤務時間は拘束されているか、他の者が作業することが認められているか、制作のための物品や道具は自分で用意しているか、一つの製作会社で専属的に働いているか、報酬は時間に対応するなど労務の提供への対価となっているか、などを考慮して判断することになります。最低賃金を下回るような報酬しか得られていないのであれば、少なくとも最低賃金に見合う賃金の請求ができますし、夜中まで働かされているのであれば、残業代の請求をすることも考えられます。

 

あなたがフリーランスであるとした場合、フリーランスに対する報酬は、当該フリーランスの労力のみならず、フリーランスが負担している費用や、事業に係る諸経費を含むものですから、最低賃金を割るような発注は、明らかに対価が少なすぎます。

 

内閣官房他による「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」においても、「取引上の地位がフリーランスに優越している発注事業者が、当該フリーランスに対し、一方的に、著しく低い報酬での取引を要請する場合であって、当該フリーランスが、今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には、正常な 商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり、優越的地位の濫用として問題となる(独占禁止法第2条第9項第5号ハ)」とされています。また、異常に廉価であるため、使用者の資本金が1千万円超である場合、下請法に禁止される買いたたき(4条1項5号)に当たりえます。

 

単独で問題提起することが難しければ、仲間と一緒に低廉な報酬の実態を調査し、改善を求め、必要があれば公正取引委員会に申告をして是正を求めることも検討しましょう。

相談の分類:
相談事例番号:qa207-2
相談事例ページ公開日: 2022年9月30日