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 みん!フリ2022ニュース⑤

  「みんなでつながる!フリーランス月間」総合レポート ~ここを新しいスタートに!~

Wor-Qでは、フリーランスの声を広く伝え、課題を明確にし、解決に向けた取り組みを推進するため、4月を「みんなでつながる!フリーランス月間」に設定しました。フリーランス月間を迎えるにあたり、2つのプレイベントも実施。イベントレポートもぜひご覧ください。

4月の本番企画では、「フリーランスの契約課題」をテーマに、延べ約400人が参加して4回のイベントを開催。また、4月3〜4日には、日本労働弁護団の全面協力を得て、「フリーランス泣き寝入り禁止110番」を実施しました。90件を超える相談が寄せられました。

「みんなでつながる!フリーランス月間」の取り組みを通じてどんな実態や課題が明らかになったのか。どんなアイデアや解決の方向性が共有されたのか。みんなの知恵を集めたオープンイノベーションのポイントを報告します。

みんなでつながる! フリーランス月間|イベント一覧

4月2日|「フリーランスの契約課題を考える・アイデアソン」
4月3-4日|無料電話相談「フリーランス泣き寝入り禁止110番」
4月9日|「フリーランスの契約課題を考える・ハッカソン」
4月17日|「フリーランスの契約課題を考える・分科会」
4月24日|「フリーランスの契約課題を考える・成果発表会」

フリーランスの契約をアップデート!

月間を通してのテーマは「フリーランスの契約課題を考える」。Wor-Qへの相談や実態調査を通して、「キャリアを重ねても報酬は横ばい」「口約束が常態化」「パワハラは日常茶飯事」「無断でイラストを二次使用される」「報酬に見合わない過重労働」「契約書があっても代金を踏み倒される」などのトラブルが多数寄せられていたからです。

そこで、まずインプットトークとして業界の実態について報告を受け、アイデアソン(*1)、ハッカソン(*2)というオープンイノベーションの手法を活用し、発注者・受注者の立場の違いを超えて課題解決のアイデアを出し合いました。報告からは、これまでの契約モデルが現場の変化に追い付いていないためにフリーランス側が納得し難い契約が生じていることが明らかになりました。

(*1)アイデアソン|アイデアソンとは、アイデア(Idea)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた造語。特定のテーマを決めて、グループ単位でアイデアを出し合う。
(*2)ハッカソン|ハッカソンとは、ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた造語。チームをつくり、特定のテーマに対してそれぞれが意見やアイデアを出し合い、アプリケーションやサービスを開発し、その成果を競い合う。

  声優の拘束問題とギャラ設定

30分番組のアニメーション(1クール3ヵ月/全13本)のアフレコ収録では、声優は毎週決まった曜日の約半日を6ヵ月間拘束される。出番の有無が直前まで分からないことが多く、スケジュール変更も頻繁で他の仕事を入れられない。ギャラの最低額は1本・1万5000円。(2次使用料込みで×2.4など)数十年前の基準が固定化しており、毎年ランクの更新があるものの、実質1万8000円ほどで上げ止まりになる現状も。出番がないと1つの作品で手取り10万円ほどの報酬にしかならない。声優は「個人事業主」だが、クライアントと契約書を交わすことはない。(◆榎本温子さん/声優・ナレーター)

  デザイン制作物の無断二次使用

ある出版社の書籍に提供した大量のデザインを別の本に無断転用され、提訴した。契約書はなかったが、請求書やメールなどを検証し、二次使用に関する取り決めがないことを確認できたことから示談で解決した。解決方法として、正確な見積もりと請求書の作成、業界共通の著作権ポリシーの分かるマークをつくることを提案したい。(◆西村淳一さん/グラフィックデザイナー)

  プラットフォーマーの利用規約(約款)

フリーランスのベビーシッター(サポーター)と利用者のマッチングサービスを提供するキッズラインでは、プラットフォーマーの責任として、利用規約にモデル契約を提示し、時給の最低ラインや明確なオプション料金の価格体系を提供。また紛争解決システム「ADR」を導入し、自社が弁護士費用を負担する形で利用者とサポーターの双方が安心して利用できる体制を整備。(◆小坂嘉生さん/株式会社キッズライン法務担当)

  女性が働き続けられる環境整備

映画業界で働くには、ほぼフリーランスという選択肢となる。大半が作品単位の契約だが契約書はなく、労働時間の取り決めもない。小道具の仕事をしているが、4ヵ月間無休だったこともある。女性は出産したら辞める場合が殆どだったが、子育てしながら続けられる仕事にしたいとNPOを設立。活動の一環として「心得カード」を発行。本カードには契約時に確認すべき条件が記載されている。アメリカの映画業界には、俳優や各役職にギルド(職業別組合)があり、労働時間や報酬について明確な取り決めがなされているが、日本ではハードルが高い。(◆SAORIさん/NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)代表)

「双方向」「集まり方」「標準」「普段使い」

実態の報告を受けて「フリーランスが、誰と仕事をしても対等に安心して取り組める」ためのアイデアソンハッカソンを実施。テーマ別のグループワークを通して13本のアイデアが具体化されました。分科会では、これを〈ツール編〉〈ルール編〉〈コミュニティ編〉の3つに分類。アイデアを活かすためのキーワードとして、「①解決は双方向で考える、②新しい集まり方が必要、③新しい標準をつくる、④普段使いができるものに」の4つを提起しました。

締めくくりとなる4月24日の成果発表会では、①新しいツールで解決!、②新しいルールで解決!(約款など)、③新しいコミュニティで解決!という3つの課題解決の方向性に沿って、パネルディスカッションを開催。

  ツール編

◆ツール編では、契約書を交わす文化がない業界が多く、手間や費用がかかる契約書は敬遠されるという実態を踏まえ、「普段使い」できて「新しい標準」となるツールについて検討しました。

  ルール編

◆ルール編では、「フリーランスの立場を守る方法としての約款」を中心に議論しました。約款とは、多数取引のために当事者の一方が予め作成した契約条項によって契約の成立が認められるものです。120年ぶりに改正された民法(債権法)に「定型約款」が規定され、一定の要件を満たせば不特定多数と契約する際の契約の方法として有効であることが明らかになりました。約款モデルの使い方としては、集団を形成して約款を決めて提示する「ギルド型」と、フリーランスと依頼者を結ぶ「マッチング型」のプラットフォームを提供する者が利用規約などを通じて両者間の公平な契約として約款を提示する「プラットフォーム型」があり、フリーランスを守る機能は期待できますが、一方的に提示される点に照らすと、両当事者間での「対等な交渉」につなげていく機能は弱いとの指摘もなされました。

  コミュニティ編

◆コミュニティ編では、発注者も受注者も納得でき、業界全体の成長につながる「新しいコミュニティ」のあり方を議論しました。様々な問題を抱えているにもかかわらず、「仕事を外されるのが怖いから声を上げられない」という実態がありますが、「みん!フリ月間」を通じて課題を共有し、解決への方向性を見いだしていく大きな力になったことを確認しました。当事者が声を上げることをサポートし、その声を力に変えていくための新しいコミュニティの必要性も共有されました。声優の榎本温子さんからは、「参加して勉強になったし、希望がもてた。理想的な契約形態の表彰(アワード)では、それをアニメーションにして広く公開するのも面白いのでないか」というアイデアも。

成果発表会パネルディスカッション|登壇者一覧

ツール編
西村淳一|グラフィックデザイナー(株式会社ファンクション)
SAORI|NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)代表
菅山りんだ明美|株式会社ハッピーエンジン代表取締役
ナオキ兄さん|インフルエンサー・PR会社代表
ふじみちゃん|インフルエンサー・フリーランスライブ配信者

ルール編
SAORI|NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)代表
長坂友樹|Webデザイナー
堀泰雄|厚生労働省雇用環境・均等局在宅労働課長
別所直哉|紀尾井町戦略研究所株式会社代表取締役社長
首藤若菜|立教大学経済学部教授

コミュニティ編
小池アミイゴ|イラストレーター(一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ理事長)
榎本温子|声優・ナレーター
ナオキ兄さん|インフルエンサー・PR会社代表
ふじみちゃん|インフルエンサー・フリーランスライブ配信者
首藤若菜|立教大学経済学部教授

ファシリテーター|原亮(エイチタス株式会社)

まとめ

Wor-Qでは、みん!フリ月間での成果を踏まえて、フリーランスとして働く皆さんを取り巻く課題解決をめざし、ここを出発点にして新しい可能性にチャレンジしていきます。

なお、「みん!フリ月間」終了後に、成果発表会にも登壇いただいた首藤若菜・立教大学経済学部教授と、河野広宣・連合総合組織局総合局長の対談が行われました。対談のレポート記事も公開しておりますので、ぜひご覧ください!「みん!フリ月間」をふまえ、実際の課題解決に向けた熱いうねりが生まれ始めています!フリーランスの皆さん、これからも、Wor-Q、そして連合にどうぞご期待ください!

みんなでつながる!フリーランス月間|協力・後援団体

厚生労働省
こくみん共済coop
全国労働金庫協会
日本若者協議会
労働者福祉中央協議会(中央労福協)
株式会社キッズライン