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特集第16号「2023年版:いまフリーランスが活用するべきDXツールはこれだ!」

2023年7月4日

特集公開日:2023年7月5日 by Wor-Q MAGAZINE 編集部

Wor-Q MAGAZINE特集第16号のテーマは、「2023年版:いまフリーランスが活用するべきDXツールはこれだ!」です。2023年5月に開催された「フリーランスサミット 2023」のプログラムのひとつとして発表された内容をまとめました。

「DX」とは、「デジタル・トランスフォーメーション」の略語です。要するに、DXとは、デジタルを活用して仕事のありかたを変革していくことです。フリーランスといっても、さまざまなタイプのフリーランスがいます。タイプによって、最適なDXのありかたは異なります。いちばん大切なことは、「自分にとって最適なデジタル環境を整える」ことです。世の中にはいろんなデジタルツールがあります。そのなかから、本当に自分に必要なツールを、自分に最適な形で使えるようにしていくことがポイントです。この特集では、「あなたにとっての最適なDX」をあなた自身で設計していくための道筋を、あますところなくお伝えします。ぜひお役立てください。そして、ぜひ、必要とされている方に届くよう、このページのURLをシェアしてくださいますと幸いです。

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「Wor-Q MAGAZINE」の特集記事の中には、「働く」に関する難しい専門用語を学びながら読み進めていくことができるよう、「Wor-Q用語集」へのハイパーリンクを丁寧に設定しています。また、具体的な事例を参照しながら、より具体的・実際的に各テーマに対する理解を深めていくことができるよう、「Wor-Q相談事例集」へのハイパーリンクもところどころに丁寧に設定しています。「Wor-Q MAGAZINE」は、どなたでも全文無料でお読みいただくことができますが、Wor-Qで「連合ネットワーク会員」に登録いただくことで、すべての「Wor-Q用語集」「Wor-Q相談事例集」を参照しながら、より便利に&より深く、「Wor-Q MAGAZINE」をお読みいただくことができるようになります。「連合ネットワーク会員」への登録はカンタン、そして無料です!まだ登録がお済みでない方は、まず、ぜひ、ご登録をご検討ください!

目次

2023年版:いまフリーランスが活用するべきDXツールはこれだ!

  ■はじめに
  ■DX:はじめの一歩
  ■WIDE CONNECT DX
  ■DEEP CONNECT DX
  ■SMART CONNECT DX
  ■おわりに

 2023年版:いまフリーランスが活用するべきDXツールはこれだ!

 ■ はじめに

DXの時代と言われています。コロナ禍を経て、ネットワーク(インターネット)を通じて仕事をすることが普通になりました。チャンスでもあります。いままでであればつながることのなかった遠くの人とつながって、仕事が成立することも増えました。ビジネスチャンスは広がっています。また、世の中全体でのDXの進展によって、在宅勤務、それから、ワ―ケーションと呼ばれる、旅をしながら仕事をするような働きかたも選びやすくなってきました。いままででは考えられないようなレベルでワークライフバランスを整えることが可能になってきています。

しかしながらリスクもあります。次から次に新しいデジタルツールが登場し、それらを使わないと仕事にならないような状況も生まれてきています。あんなツールもこんなツールも、たくさんのツールを使わなければならないですから、データがあちこちに分散してしまうリスクがあります。どこになんのデータがあるかわからなくなってしまったりするわけです。そして、さまざまなツールを通じて、毎日たくさんのデータが飛んでくるわけです。重要度の高いデータも低いデータもあります。それらをチェックするだけで、たくさんの時間をとられてしまいます。ツールを使えるようにするための学習コストもかかります。

そう、DXは、DXの波に飲まれてしまうと、「便利なようで便利じゃない!」ことになってしまうのです。デジタルによって、かえって業務がややこしくなってしまうわけです。そうならないようにするためには、あなた自身が主導権をもって、あなたにとって一番便利な形で、デジタルワークの環境を整えていくべきなのです。

フリーランスの皆さんにいまこそおすすめしたいDXは、皆さんが「持続可能な働きかたで安心・安全に働き続けることができるようになる」ためのDXです。具体的には、「本当に大切な相手との本当に重要なコミュニケーションに集中できるようになる」ためのDXです。

 ■ DX:はじめの一歩

フリーランスは「忙しい」です。そして、良くも悪くも「プライベート(OFF)と仕事(ON)」「友人と取引先」の境界線があいまいになります。だからこそ、複雑な切り替えをせずに「ワン・インターフェース」で使い倒せる仕組み「ワン・プラットフォーム」で可能な限り自動連携できる仕組みを作り上げることがDXのポイントになります。

したがって、メインで使う業務管理のためのデジタルツールは1つに絞るべきです。おすすめは、Googleが提供している究極のクラウドメモアプリ「Google Keep」です。利用は無料です。すべての一次インプットをスマートフォンの「Google Keep」アプリで行うようにして、そこからさまざまなGoogle サービスに縦横無尽に(できる限り自動で)連携させていくのです。このカタチであれば、普段日常的に使うツールは「Google Keep」アプリだけです。しかも、Googleが提供しているサービスですから、そこからさまざまなツールにデータをスムーズに連携していくことができるのです。

「Google Keep」は、サクサク快適に動く「メモ」アプリです。思いついたことを、自由にサクサク記録していくことができます。テキスト入力だけでなく、音声入力、そして、画像入力(読み込んだ画像から、自動でテキストを抽出してくれます!)も可能です。忙しい時に、移動中にサッと入力できる音声入力も非常に便利です。思いついたことを、忘れないように、サッとメモしておきましょう。

さまざまなツールをバラバラと使うのではなく、とにかくすべての一次インプットを、まずはすべて「Google Keep」に記録していくのです。それを、内容によって、ラベル分けして分類していくのです。

ラベル分けは3種類でじゅうぶんです。

■未来のタスク(予定:ToDo)
■現在進行中の仕事にまつわるアイディア
■完了のログ(記録)

「これからやらなければならないこと」は、すべて「Google Keep」に記録して、「未来のタスク(予定:ToDo)」としてラベリングしていきましょう。終わったら、「アーカイブ」して、メインの作業ボックスからは移動させておきましょう。

「現在進行中の仕事にまつわるアイディア」も、すべて「Google Keep」に記録して、「現在進行中の仕事にまつわるアイディア」としてラベリングしていきましょう。メールの下書き、SNS投稿の下書きなど、なんでも構いません。メールやSNS投稿の文章を書く時間はバカになりません。音声入力も活用して、隙間時間にコツコツ書き溜めておくと時間の節約になります。そのアイディアが用済みになったら、「アーカイブ」して、メインの作業ボックスからは移動させておきましょう。

「完了のログ(記録)」は、経理の元データにもなります。「●●さんからOKの返事が来た」など、仕事にまつわる「いつ/誰との仕事で/何をしたか」を細かくメモしておくことが大切です。そのログが処理済みになったら(経理システムへの入力などが終わったら)、「アーカイブ」して、メインの作業ボックスからは移動させましょう。

デジタルツールには、データを入力していく必要があります。それが実はいちばん面倒ですよね。そこで、「Google Keep」です。とにかくまずは、「Google Keep」に入力して、仕事に関する情報をどんどんデータ化していきましょう。

 ■ WIDE CONNECT DX

さあそれではさっそくDXの環境を整えていきましょう。

まずは、「WIDE CONNECT DX」広くつながるためのDXについて考えてみましょう。フリーランスは、自分のことを知ってもらわないといけません。自分で仕事を作らないといけないからです。そのためには、SNSの活用は欠かせないですね。Twitter、Facebook、Instagram、LINE・・・さまざまなツールがあります。自分の仕事のことをよりよく理解してもらうには、YouTubeなどの映像配信プラットフォームのほか、stand.fmなどのラジオストリーミングのためのツールなども活用したほうがよいでしょう。さらに深く自分のことを理解してもらうには、noteなどのBlogツールを活用するほか、自分のホームページを構築して運用することも大切になります。

これらのSNSツールの有効活用方法や、Blogや自分のHPをかんたんに立ち上げるための方法は、Wor-Qの「特集」や「お役立ちリンク集」をご覧ください!

いっぽう、こうしたSNS、Blog、自分のホームページを実際運用し始めてみると、その大変さがすぐにわかるはずです。更新しなければ、見てもらえません。けれど、こまめに更新するのは本当に大変です。それだけではありません。こうしたさまざまな情報発信窓口を通じて、さまざまなメンション(通知)がたくさん飛んでくるようになるわけです。あなたの仕事につながるような重要なお知らせもあれば、あまり関係がないどころか、冷やかし・嫌がらせに近いようなお知らせもあります。スパムだってたくさん来ます。これでは、そうした通知をさばくだけで一日が終わってしまいます。

なので、ポイントは、「できる限り時間をかけずに」、こうした「WIDE CONNECT DX」を回していく仕組みを作り上げることです。

2つのテクニックがあります。

1つ目のテクニックは、SNS、Blog、ホームページの更新のためのデータを、Google Keepを使って作っていくことです。細かい隙間時間を使って、Google Keepに、ネタを貯めていくのです。貯まってきたら、よきタイミングで、それぞれのツールの管理画面から適宜発信していけばいいのです。Google Keepの「送信」機能を使えば、SNSの投稿画面にスムーズにメモをコピーすることができます。

2つ目のテクニックは、各SNS等に直接送られてくるDM(ダイレクトメッセージ)には原則対応しないことを明記し、すべての問い合わせを、あなた自身のホームページの「お問い合わせフォーム」に集約することです。そうすることで、すべての問い合わせを一カ所の入口に集約することができます。

さらに、その問い合わせフォームを「Google Forms」を活用して作成することで、送られてきた問い合わせデータを自動的に「Google Spreadsheet」に転記してWeb上でデータベース化したり、「Google Formからデータが送信されてきたとき」をトリガーとして相手と自分にメールを自動送信する「Google Apps Script(GAS)」のスクリプトを埋めておくことで、問い合わせをしてくれた相手に自動的に返信メールを送ることも可能になります。

この仕組みを作り上げることで、幅広い潜在顧客層とのファーストコンタクト(初回対応)を完全自動化することができます。

「Google Forms」から送られてきた問い合わせデータを自動的に「Google Spreadsheet」に転記していく仕組みをつくるのは簡単です。「Google Forms」の管理画面の【回答】のタブに表示されている「スプレッドシート」の緑色のアイコンを押して、「新しいスプレッドシートを作成」を選択するだけで終わりです。フォームと連携されたスプレッドシートが作成されます。

「Google Forms」から問い合わせが届いた時に、自動的に、問い合わせをしてくれた人にお礼のメールを送るとともに、自分宛に「新しい問い合わせが届いた」ことの通知メールを送る仕組みを作り上げるには、「Google Spreadsheet」に「Google Apps Script(GAS)」のスクリプトを埋める必要があります。これも、簡単なんです。上記の方法で作成した、フォームと連携されたスプレッドシートを開きます。そこで、【拡張機能】を選択し、【Apps Script】を開きます。【エディタ】が立ち上がりますので、下記のコードを入力し、【autoReplyandNotice.gs】のようなファイル名をつけて、保存します。その後、【トリガー】に切り替えて、【実行する関数を選択】で【autoReplyandNotice】を、【イベントのソースを選択】で【スプレッドシートから】を、【イベントの種類を選択】で【フォーム送信時】をそれぞれ選びます。これで終わりです! 以下のサンプルコードを参考にしてみてください。

function autoReplyandNotice() {
var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet();
var row = sheet.getLastRow();
var name = sheet.getRange(row, 2).getValue();
var mail = sheet.getRange(row, 3).getValue();
var contents = sheet.getRange(row, 4).getValue();

var title = "【あなたの屋号】お問い合わせありがとうございます。";//メールタイトル

//メール本文を作成
var mail_body
= "【あなたの屋号】へのお問い合わせ誠にありがとうございます。\n"
+"下記の内容で、お問い合わせを受け付けました。\n\n"
+ "--------------------------------------\n"
+ "■お名前\n"
+ name + "\n\n"
+ "■ご連絡先メールアドレス\n"
+ mail + "\n\n"
+ "■お問い合わせ内容\n"
+ contents + "\n\n"
+ "---------------------------------------\n\n"
+ "お問い合わせいただきました内容を確認させていただきました後、返信させていただきます。";

const options = { name: '【あなたの屋号】' };

GmailApp.sendEmail(mail, title, mail_body, options);
GmailApp.sendEmail('【あなたのメールアドレス】', title, mail_body, options);

}

Google Apps Script(GAS)を使いこなすことで、どんどん業務を「自動化」していくことができます!業務効率化の鍵は「自動化」です。最初はちょっととっつきにくいかもしれませんが、そんなに難しいことではありません。あなたにとって最適なDXのカタチを作るには、自分自身でカスタマイズして作り上げるのがいちばんです。ぜひ、チャレンジしてみてください!

 ■ DEEP CONNECT DX

それでは続いて「DEEP CONNECT DX」深くつながるためのDXについて考えてみましょう。前の章で見たように、デジタルを活用して「広くつながる」ための「WIDE CONNECT DX」を活用すれば、効率的に(できる限り自動化して)新しいつながりを育てていくことができます。そのうちに、「このひとは、自分のことをきちんと評価してくれるし、理不尽な要求をしてくることもないし、長期的な信頼関係を築いていくことができそうだ」と感じることのできる相手が見つかってきます。そうした「ちゃんと関係を築いていきたい相手」とは、密なコミュニケーションをとるための仕組みを別途しっかり用意したいものです。そのための仕組みが「DEEP CONNECT DX」です。

具体的には、まず、「DEEP CONNECT DX」の基盤として、きちんと関係を育てていきたい相手のデータベースを作っていきます。いわゆる「連絡先データベース」です。さまざまなツールがありますが、おすすめはやはり「Googleコンタクト(「連絡先」)」です。「WIDE CONNECT DX」を使ってつながりはじめた相手のうち、この人はちゃんとお付き合いしていきたいと思えた相手の情報を、順番に「Googleコンタクト」に移していくのです。

(なお、アナログな場で名刺を受け取ってつながった相手の情報は、スマホで撮影した名刺の写真をGoogle Keepに取り込んで【画像からテキストを抽出】の機能を使えば、転記を間違えることもなく、スムーズに、データをGoogleコンタクトに取り込むことができます。ぜひ試してみてください。)

Googleコンタクトには、自動的に、GmailやGoogleのチャットでのやりとりの履歴が紐づいていきますから、相手とどんなやりとりを積み重ねてきたのかが一目瞭然です。Googleコンタクトには、ひとりひとりについてのさまざまなメモを記録していくことも可能ですから、相手とのやりとりで判明した「大切なこと」(相手の誕生日からはじまり、相手が特に大事にしていること、気にしていることの情報などーーー)をしっかりと記録していくことで、その相手とのコミュニケーションを丁寧なものにしていくことができます。(「あのとき、こうおっしゃっていましたよね?」というようなことを書き添えることで、相手に対する深い理解を示すことができるようになります。これは、仕事上の競合が簡単には真似できないことですから、過度な競争に巻き込まれて疲弊することを防ぐことにもつながります。)何より、こうして密なコミュニケーションを大切にすることで、仕事上の関係を超えた、「人間と人間として互いを尊重し、大切にしあう関係」を築いていくことができるようになるわけです。

この「Googleコンタクト」を基盤として、「Gmail(メール)」でやりとりをするだけでなく、「Google Meet」というサービスを使ってビデオ通話をしたり、「Google Chat」を使って1対1のチャットをしたり、テーマによって分けられたスペースを立ててグループチャットをしたりして、状況に応じた最適なコミュニケーションスタイルを駆使してきめ細やかなやりとりを積み重ねていくのです。

なお、「Google Meet」も「Google Chat」も、相手方がGoogleのアカウント(~~~@gmail.com)を持っていないと、つながることができません。そこで、ビジネス用のLINE公式アカウントも用意して、LINEを通じてチャットをしたりビデオ通話をしたりできるようにしておいたほうがよいでしょう。

ところで、「Google Workspace」という、上記のようなGoogleの業務用サービス群を統合的により便利に使うことができるようになる有料のビジネスプランがあります。「Google Workspace」には、「Individualプラン」という、ユーザーひとりのフリーランス(個人事業主)にぴったりの料金プランがあるのでした。うれしいですね。年払い型であれば、料金はなんと月額944円。1,000円をきっています。(※2023年6月時点の情報です。)

この「Google Workspace Individualプラン」を利用することで、相手がGoogleアカウントをもっていなくてもGoogle Meetにパソコンから参加できるようになります。また、Google Meetでのビデオ通話の様子を録画してGoogleドライブにスムーズに保存して、そこからYouTubeにアップロードをしたり、Google Meetでのビデオ通話の様子をそのままYouTubeでライブストリーミング配信したりすることも可能になります(録画やストリーミング配信には相手の同意が必要です。また、YouTubeのチャンネルで一定の登録者数を有している、などの使用条件があります)。なお。「Google Workspace Individualプラン」を利用することで、オンライン上のファイルストレージである「Googleドライブ」のストレージ量も、標準の15GBから1TBまで一気に増えます。

また、「Google Workspace Individualプラン」を利用することで、「Gmail Custom Mail Marketing(「マルチ送信機能とメールへの差し込み機能」)」が利用可能になります。この機能を使えば、一度に多くの相手に、グループ別にカスタマイズされたメールマガジン(ニュースレター)を送ることができ、非常に便利です。あなたのビジネスにおける新情報を、大切なお客様&パートナーの皆さまに定期的にご案内することができます。なお、Gmail送信可能件数は、通常ですと1日500通ですが、「Google Workspace Individualプラン」を利用することで1日2000通に(マルチ送信は1日1500通まで)増えます

なお、「WIDE CONNECT DX」でご紹介した(「Google Apps Script(GAS)」を利用して構築する)「自動返信メール」の仕組みですが、「Google Workspace Individualプラン」を利用することで自動返信メールにおける送信元情報をマスクできる(隠すことができる)ようになります。これにより、自身の情報を晒すことなく、問い合わせへの自動対応が可能になるわけです。

さて、フリーランスにとって有難い機能がもうひとつあります。「Google Workspace Individualプラン」を利用することで、Googleカレンダーの【予約】機能がプレミアムにアップグレードされるのです。これにより、あなたのビジネスの種類にマッチした、専用の予約インターフェースを構築することができるようになるのです。

このように、「Google Workspace Individualプラン」というひとつのサービスを契約するだけで、統合型の(=さまざまなサービスがスムーズに連携した)デジタル業務環境を一瞬で組み上げることができるのです。あとは、カスタマイズして、自分にマッチした環境に整えていくだけです。

いずれにしても、大事なことは「ツール」ではありません。実現したいことは「大切にしたい相手とのやりとりの情報をしっかりと記録して、過去のやりとりの積み重ねに基づいた、ひとりひとりに対して作りこまれた丁寧な情報を届けていく」ということです。それを実現できるのであれば、ツールはなんでもよいのです。あなたがデジタルで実現したいことはなんでしょうか?まずはそこから考えてみましょう。

 ■ SMART CONNECT DX

最後にご紹介するのは、「SMART CONNECT DX」というものです。これは、お客様やパートナーとの日々の向き合いの仕事(フロントでのお仕事)とは別に裏側で発生するさまざまな事務作業(いわゆる「バックオフィス業務」)をスマートに(つまり、できる限り効率的・自動的に)処理していくための仕組みのことです。

「経理」がその代表的なものですが、「経理」の前に、まず、仕事の相手に対しては請求を出してお金を受け取らなければなりませんし、仕事の過程で誰かに何かをお願いした場合には逆に請求を受けて支払いをしなければなりません。お金の流れをきっちりと管理して、滞りなく確実に処理を進めていかなければならないわけです。

こうした事務作業をスムーズかつ正確に処理するためにはどうしたらいいでしょうか?基本は、まず、お客様やパートナーとの日々のやりとりを正確に台帳に記録していくことです。【誰との間で、いつ、何をしたのか】。これを、仕事の案件単位で、きっちりと、オンライン上(クラウド上)の表に記録していくのです。おすすめは、Googleスプレッドシートです。Googleスプレッドシートは、オンライン上(クラウド上)にありますから、すなわちデータの保全にもつながります(定期的にデータをエクスポートしてローカルでもバックアップするなどして、さらなる保全に努めましょう)。

どんな仕事でも、ざっくりいえば、お金の流れは2種類しかありません仕事をして対価としてお金をもらうタイプの流れ。そして、人に何かをお願いした対価としてお金を払うタイプの流れ。それぞれの流れを、まず、【受注管理表】【発注管理表】として、Googleスプレッドシート上で細かく記録していくのです。これが、あらゆるバックオフィス業務処理の基礎になります。

【受注管理】であれば、お客様にフォームから確定申込を入れてもらうことで自動的にGoogleスプレッドシートに案件管理レコードを生成するような仕組みを作っておけば、案件情報の記録漏れがなくなります。そして、タイミングが来たら自動的に請求書のPDFを作成してくれるGoogle Apps scriptを用意しておけば完璧です。自動メール送信まで実現できればさらに完璧ですね。請求漏れもなくなります。

【発注管理】であれば、Googleフォームを使って自分用の「発注業務用フォーム」を作り、発注業務用フォームに入力すれば自動的にGoogleスプレッドシートに発注情報が入力され発注書のPDFが作成されるようなGoogle Apps script(GAS)を用意しておけば完璧です。

(なお、それぞれ、案件ごとに【受注管理番号】【発注管理番号】をつけて、メールでのやりとりの際に必ず案件ごとに番号を書き添えておくと、あとで、関連するメールを抽出するのが楽です。試してみてください。)

こうした自動化が難しければ、ただ単にGoogle Spreadsheetにコツコツと自分で入力していくだけでも十分です!それだけでも劇的にバックオフィス業務は楽になります。記録されたデータを見ながら、請求を立てたり、支払をしたり、経理システムにデータを入力していけばいいのですから。デジタル化(DX)のポイントは、システムを作ることよりも、「システムへのデータ入力フローを楽にする仕組みを作ること」です。システムを作っても、そのシステムにいれるデータがなければ、システムは意味をなしません。どんなに優れたシステムでも、運用が大変では意味がありません。まずは、あなたの日々の業務の記録を、オンライン上のスプレッドシートに表形式でしっかり記録していけるようにしましょう。すべてはそこからですし、逆に言うと、それだけでいいのです。それさえあれば、もう、データは出来上がっているのですから、あとは、自分で作るのであれ、市販のサービスを使うのであれ、システムにデータを流し込んでいくだけです。

 ■ おわりに

世の中にはさまざまなデジタルツールがあふれています。便利です!といわれても、習得するのも大変そうだし・・と思いますよね。本来であれば、あなたの業務をスムーズに進められるようにしてくれるのがデジタルツールのはずなのに、逆に、デジタルツールにあわせてあなたの業務を無理に変えたりしなければならなくなったりして、かえって仕事が進めにくくなったりしてしまうこともあるわけです。これでは本末転倒です。デジタル化(DX)する意味がなくなってしまいます。

そのようなことにならないようにしていくためには、ごくシンプルなものでよいので、デジタル化のための基礎的な仕組みを、まずは自分自身でDIYで作り上げていくことです。簡単なことです。かんたんなオンライン上のデータベース(スプレッドシート)に、日々の業務データをきちんと記録できるようにしていくだけのことです。あなたは、そこにデータを入れていくだけです。

そう、主役は「あなた」なのです! そもそも、デジタル化の目的は、「あなたをリスペクトしてくれる相手を見つけ、あなたをリスペクトしてくれる相手とのコミュニケーションに集中できるようにすること」でした。デジタル化によって、かえって、システムやデータの波に溺れてしまうのでは意味がありませんね。「あなたがあなたを一番大切にするためのデジタル業務環境をつくる」。そのためには、次から次に登場してくる「ツール」に仕事をあわせるのではなく、あなたにとっての最適なツールを自分で組み合わせて最適なデジタル環境を作ることです。じぶんを一番大切に、そして、恐れずに、チャレンジしてみましょう!Be Proud、そして、Let’s Do It Yourself!

本特集に掲載しております情報は、正確を期すべく、しっかりと確認を行っておりますが、あくまでも参考としてご利用いただきますようお願いをいたします。

構成:旦悠輔(Wor-Q管理人 兼 Wor-Q Magazine編集長)

大学卒業後16年間に渡り大手コンサルティング会社・大手ポータル企業等でIT関係の仕事に従事したのち、フリーランスとして独立。Webサイト運営に関するコンサルティングから、システム設計・開発・運用、コーディング・デザイン、そして中身のコンテンツの企画制作(文章/イラストレーション&グラフィック/写真&映像)に至るまでオールマイティにこなすマルチフリーランサー。個人事業主としての屋号も、「肩書や職種の枠組にこだわらず、課題解決やイノベーションのために必要なことはなんでもやる」という決意をこめて「旦悠輔事務所」としている。当事者(フリーランス)のひとりとして、「フリーランスという働きかた」に関するさまざまな課題を解決に向かわせていきたいという思いをもって、Wor-Qの運営に携わっている。

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