解説

所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされているが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されている。
この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというもの。
また、復興特別所得税においても、平成25年１月１日から平成49年（2037年）12月31日までの間に生じる所得のうち、所得税の源泉徴収の対象とされている所得については、所得税を徴収する際に、復興特別所得税を併せて徴収し、徴収した所得税と併せて納付する源泉徴収制度が採用されている。
この源泉徴収制度により徴収された所得税及び復興特別所得税の額は、源泉分離課税とされる利子所得などを除き、例えば、報酬・料金等に対する源泉徴収税額については確定申告により、また、給与に対する源泉徴収税額については、通常は年末調整という手続を通じて、精算される仕組みになっている。

ねえねえ、わーくま、よく聞く「源泉徴収」って、要するにどういうことなの？？？

かんたんにいえば、「富里井さんが払うべき所得税を、富里井さんに報酬を払う発注者のほうが代わりに計算して、国に納付する仕組み」のことをいうんだよ。富里井さんの仕事が源泉徴収対象となる場合には、富里井さんが発注者からもらえる報酬の額は、契約などで定められた金額から源泉徴収税額を差し引いた金額になるんだ。

なるほどね！源泉・・・お金が流れてくる源の泉、要するにお金を支払う側から、税を徴収する仕組み、ってことだね！

そういうことだね。だから、別に、損しているわけではないんだね。しかも、源泉徴収に関する事務は、源泉徴収義務者である発注者側がしっかりと行うことになっているから、仕事を受ける側が何か事務作業をしなければならない、ということもないから、安心してね。

そうなんだね。さっき、「仕事が源泉徴収対象となる場合には」って言ってたけど、それは誰がどうやって決めるの？

どういう場合に源泉徴収をしなければならないのかについては、法律で細かく定められているんだけど、それを理解して、源泉徴収対象かどうかを判断する義務を負っているのも仕事を発注する側の源泉徴収義務者のほうだから、仕事を受ける側が何か調べたりする必要はないから安心してね。

そうなんだね、ほっとしたよ・・・。でも、所得税の額は、最終的には確定申告によって決まるわけでしょ？結果的に税金を徴収され過ぎてた、ってことにはならないの？例えば、一年を通して収入がとても低かったり、事業のために必要な経費をたくさん使わざるをえなかったような時でも、その源泉徴収された金額は返ってこないの？

返ってくるから安心してね。源泉徴収は、対象となる報酬の範囲が定められていて、報酬の種類によって計算方法が定められているんだ。おおむね、100万円以下の報酬であれば、10.21%をかけた金額が、源泉徴収税額として一律引かれるわけだね。確定申告によって、あらためて、一年分の収入と支出の額をもとに、富里井さんが本来支払うべき一年分の税額を計算したときに、一年間源泉徴収され続けてきた税額の合計よりも少なかったようであれば、その差額分は、「還付金」として、確定申告後に富里井さんの銀行口座に振り込まれる形で戻ってくることになるんだよ。

そうなんだ！「確定申告によって支払った税金が戻ってくる場合がある」っていうのは、そういうことだったんだね。だとすると、「どれだけの金額が源泉徴収されてきたのか」をきちんと記録しておくことが非常に重要だね。確定申告の際に、源泉徴収されてきた金額に関する証明書の提出が必要になったりするのかな？

特に必要ないんだ。正確に言えば、証明書などを確定申告の際に添付しなくても、しっかりと正確に源泉徴収されてきた金額を記載しさえすればいいんだ。「富里井さんが、いくらの報酬をもらって、いくら源泉徴収をされてきたのか」ということは、マイナンバーを通じて、「富里井さんに報酬を支払った側が、富里井さんにいくら報酬を払って、いくら源泉徴収をしてきたのか」ということと照合できるようになっているから、証明書などの提出は不要とされている、ということなんだね。

なるほどだね！じゃあ、なおさら、じぶんでしっかり、源泉徴収税額を記録して、管理しておくことが大切なわけだね。

そういうことだね。発注者から請求書の発行を求められたとき、発注者が源泉徴収義務者であり、その仕事が源泉徴収対象となる仕事である場合には、発注者が源泉徴収税額を知らせてくれるのが通常なんだ。だから、源泉徴収金額もしっかりと請求書に記載したうえで、発行した請求書をしっかりと保管しておくことが大切だね。

ほんとだね、それが、じぶんのなかでの証明書になる、ってわけだね。その書類がなくなっちゃったら、くまったことに・・・、いや、困ったことになっちゃうわけだね・・・、書類の管理・バックアップも、とっても重要な仕事なんだね！気を引き締めていくよ！いつもありがとうね、わーくま！

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